地域住民の意見や思いを反映する
旧余部鉄橋の橋脚は計11本。学識経験者や地元自治体、住民代表、JR西日本などで構成する検討会では、進行していた老朽化や高額な維持管理費などを考慮し、望ましい残し方の検討を重ねた。
豊岡方面側の橋詰から3本の橋脚は、新橋梁の軌道と重なるため、早くから撤去が確定していた。完全な形では残せないという前提から、地域景観との調和や落下物による危険の有無、後世に伝えるメッセージ性、維持管理のしやすさといった視点で、下の4案に絞り込んだ。
さらに道路をまたいでいたり、直下に民家が近接していたりする橋脚をできるだけ除き、最終的には、餘部駅側(鳥取方面側)の端に位置していた3本を残す案がまとまった。駅と一体で利用しやすいことも、最終案のメリットだった。
県の検討委員会と並行して、地元の香美町も検討会を立ち上げて住民の意見を県に提言。また住民独自のグループも、新橋梁や「空の駅」を地域の魅力づくりにつなげる活動を活発化させた。例えば余部地域の住民が組織した「明日の余部を創る会」では、新たな特産品の開発などに取り組んでいる。