定時運行確保から架け替えへ
旧余部鉄橋は橋長約309m、高さは約41mで、1912年に完成した。86年には、鉄橋を走行中の列車が突風にあおられて転落し、12人の死傷者が出る事故が発生。以後、強風時などの走行規制が強化され、運休や遅延が相次ぐ。
91年、鉄道の定時運行確保を目的に、兵庫県と鳥取県および関係市町村などは、「余部鉄橋対策協議会」を設置。旧橋への防風壁の取り付けなどを検討したが、2002年、JR西日本の提案に基づいて防風性能を高めたコンクリート橋への架け替えが決まった。
架け替えの事業費は約30億円で、8割を兵庫県など自治体が、2割をJR西日本が負担。エクストラドーズドPC(プレストレスト・コンクリート)橋の新橋梁が10年に完成した。年間の列車運休本数は、架け替え直前の114本から直後は6本と激減した。
他方、旧橋の保存を望む声も上がる。土木学会が03年、対策協議会の会長である兵庫県知事に土木遺産としての保存を要望。県は06年、外部を交えた「余部鉄橋利活用検討会」を設置し、1年間の検討を踏まえて「空の駅」を整備した。