ヒカリエ脇は軌道直上から施工

渋谷ヒカリエ脇を通る銀座線。直上に作業構台を設置し、軌道直下に新しい変電所となる地下躯体を構築している(写真:ケンプラッツ)
渋谷ヒカリエ脇を通る銀座線。直上に作業構台を設置し、軌道直下に新しい変電所となる地下躯体を構築している(写真:ケンプラッツ)

 ヒカリエ脇の区間は、高架や盛り土になった長さ157m。今回の移設工事で最初に着手した区間だ。

 軌道を工事桁で仮受けして、新たに変電所などを建設してきた。軌道の南側には、渋谷ヒカリエ、北側には商業ビルがあるという狭隘な場所での工事で、施工は銀座線の上空からしかできない。しかも、終電から始発の間にしかできない作業もあるなど作業スペース、時間ともに制約の多い区間だ。

 一方のP4橋脚の区間は長さが50m。直下では、交通広場などを整備する区画整理事業が同時進行し、長期間にわたって競合する部分だ。

 P4橋脚の工事は11年から着手し、13年4月初旬に本体が完成した。東口の交通広場のほぼ中央に建つため、広場のシンボルにもなる。

 そこで、P4橋脚のデザインについては、渋谷区が設置した「渋谷駅中心地区デザイン会議」(座長:建築家の内藤廣氏)で検討され、表面は杉板の模様になった。形状も平面が楕円のような形で、下から上に向かって断面が徐々に拡大していき、太くなる。この複雑な形状や表面の模様を実現するために、試験施工を実施した。

軌道を仮受けし、その横にP4橋脚を新設した。表面はスギ板模様で、平面、側面ともに複雑な形状をしている(写真:ケンプラッツ)
軌道を仮受けし、その横にP4橋脚を新設した。表面はスギ板模様で、平面、側面ともに複雑な形状をしている(写真:ケンプラッツ)

 次回は、この2つの区間について、これまでの施工状況を中心に説明する。

後編:ヒカリエ脇でひそかに進む駅移設