島式ホーム化により幅と縦断勾配が変わる

現在の銀座線渋谷駅。ホームは相対式。閉店した東急百貨店東横店の建物の3階にある(写真:ケンプラッツ)
現在の銀座線渋谷駅。ホームは相対式。閉店した東急百貨店東横店の建物の3階にある(写真:ケンプラッツ)

 銀座線渋谷駅を利用する人は1日当たり22万6644人(12年度1日平均)。130ある東京地下鉄(東京メトロ)単独の駅のなかで5番目に多い。

 地下鉄といっても駅は高架で、東急百貨店東横店の建物の3階部分にある。移設事業では、地下化された東急東横線渋谷駅や渋谷ヒカリエがある東側に130m移す。

 現在の駅は線路の両側にホームがある相対式と呼ばれるものだが、移設後はホームの両側に線路がある島式にする。幅は7mから12mに広がる。

 改札などの駅設備はJR線との同一階になり、乗り換えの不便さが解消され、これまでは百貨店内を通るなど複雑だった動線もシンプルになる。

銀座線渋谷駅の移設計画
現在の平面図
現在の平面図(資料:東京メトロ)
将来の平面図
将来の平面図(資料:東京メトロ)

(資料:東京メトロ)

将来の銀座線渋谷駅ホームのイメージ(資料:東京メトロ)
将来の銀座線渋谷駅ホームのイメージ(資料:東京メトロ)

渋谷駅東口広場を北側から見る。銀座線の高架橋は広場の中央を横断している。広場の大部分は現在、工事ヤードになっている(写真:ケンプラッツ)
渋谷駅東口広場を北側から見る。銀座線の高架橋は広場の中央を横断している。広場の大部分は現在、工事ヤードになっている(写真:ケンプラッツ)

東京メトロ渋谷駅基盤整備プロジェクトチームの岡田龍二担当課長(写真:ケンプラッツ)
東京メトロ渋谷駅基盤整備プロジェクトチームの岡田龍二担当課長(写真:ケンプラッツ)

 一大ターミナルでの移設事業という作業スペースなどの制約から、仮線を設けての工事は不可能だ。現在線を営業しながら、その直下や直上で施工する難工事となった。施工区間は長さ350mに及ぶ。

 単に移設するだけでなく、島式ホーム化に合わせて分岐を設置するので、縦断勾配を現在の35‰(パーミル)から10‰に下げ、軌心間隔を3.3mから4.05mに広げる必要がある。また、変電所の容量を増やさなければならず、渋谷ヒカリエ脇を通る軌道の直下に、変電所を新たに建設する。

 さらに実際の工事では、同時に進む駅前の交通広場の再整備、東急百貨店の解体や跡地の再開発事業などとの同時施工となる。

 「工程や作業スペースなど各事業者間の調整だけで、1年以上かかった」と東京メトロ渋谷駅基盤整備プロジェクトチームの岡田龍二担当課長は、この工事の複雑さを語る。