巨大ターミナルの渋谷駅。再開発事業の一環で、2013年3月末で閉店した東急百貨店東横店の建物3階にある地下鉄銀座線のホームを、そっくり東へ130m移す。

 完成予定は2021年度。同時に進む駅ビル建て替えや駅前広場整備などの事業と調整しながら、10年度の着工から10年以上をかけた一大移設プロジェクトだ。その間、銀座線の営業は止めない。

 現場では、新しいホームを支えることになる5基の橋脚のうち、1基がこのほど完成。その1基だけでも約2年を要した。このコラムでは、1回目に移設事業全体の流れをまず説明し、2回目に現在進行中の工事を詳しくお伝えする。

閉店した百貨店建物内の渋谷駅に列車が入っていく銀座線の高架橋。新しいホームを支えることになる橋脚1基が4月に完成した(写真:ケンプラッツ)
閉店した百貨店建物内の渋谷駅に列車が入っていく銀座線の高架橋。新しいホームを支えることになる橋脚1基が4月に完成した(写真:ケンプラッツ)

渋谷駅全部を造り替え

銀座線ホーム移設を含む渋谷駅再開発のイメージ
現在の状況
現在の状況(資料:渋谷区)
再開発後
再開発後。銀座線ホームは東へ移設する(資料:渋谷区)
銀座線ホームは東へ130m移し、相対式から島式にする(資料:渋谷区)

 渋谷駅は、JR、私鉄、地下鉄の6駅8線が集中し、東京都内最大級のバスターミナルもある。国内でも有数の公共交通のターミナルだが、それぞれが段階的に整備されてきたために、動線は複雑で、バリアフリーへの対応が難しく、乗り換えも不便だった。そこで、これらを再整備すると同時に駅周辺を再開発することになった。

 05年12月に渋谷駅周辺地区が都市再生緊急整備地区に指定されたのを受けて、渋谷区では07年に「渋谷駅中心街区まちづくりガイドライン2007」を作成したのに続いて、具体的な整備内容を盛り込んだガイドラインを10年に策定。5地区の再開事業や基盤整備を実施していく方針を打ち出した。

 12年には、この先導的プロジェクトである複合商業施設の「渋谷ヒカリエ」が完成し、13年3月には、東急東横線が地下に移った。同線移転後のホームなどの駅設備や駅と一体化していた東急百貨店東横店の建物は解体して再開発する。同じ建物に入っていた銀座線渋谷駅の移設も、これに伴うものだ。

 渋谷駅再開発の事業計画は、13年6月17日付で都市計画決定した。