2回の揚重で組み立てられる工事用エレベーターを投入

 現在、作業用構台には昇降設備がないが、今後は人が上って行う作業も出てくる。高さ30mの建屋上部への昇降用に使用する工事用エレベーターは、鹿島が三成研機(埼玉県日高市)、東京電力と共同で開発した。特許を出願済みだ。

 このエレベーターも、領木副所長のスケッチをもとに開発した。組み立て作業を短縮して作業員の被曝量を低減するために、エレベーターの本体とガイドレール、扉を取り付けたエレベーターシャフトをユニット化。六つのユニットを組み上げるだけで設置できる仕組みにした。

 ユニット一つのサイズは2.48m×1.9m×6mに収まる。公道を運搬できるように設計した。これらを、発電所構内でいったん二つの大型ブロックに組み上げてから、3号機原子炉建屋に据え付ける。「2回の揚重で設置作業が完了する。置いて電源をつなげば、すぐに動かせる」(領木副所長)。

 搭乗者の被曝量を低減するために、建屋側の側面には厚さ16mmの鋼板を使用。その他の面には厚さ6mmの鋼板を使用した。ケージの外に比べて放射線量を半減できる。

大型ユニット化したエレベーターシャフト。高さは30m。積載荷重は700kg、定員は10人、昇降速度は分速20mだ。積載重量が同じクラスのエレベーターよりも昇降速度を上げて、被曝量を低減している(資料:鹿島)
大型ユニット化したエレベーターシャフト。高さは30m。積載荷重は700kg、定員は10人、昇降速度は分速20mだ。積載重量が同じクラスのエレベーターよりも昇降速度を上げて、被曝量を低減している(資料:鹿島)
エレベーターケージの構成。サイズは幅1.6m、奥行き1m、高さ2.05mだ。内装は、突起物をなくして防護服を破損することがないように配慮した。天井には監視カメラを設置し、トラブルにもすぐに対応できるようにしている。緊急時の脱出路も設けた(資料:鹿島)
エレベーターケージの構成。サイズは幅1.6m、奥行き1m、高さ2.05mだ。内装は、突起物をなくして防護服を破損することがないように配慮した。天井には監視カメラを設置し、トラブルにもすぐに対応できるようにしている。緊急時の脱出路も設けた(資料:鹿島)