送り出し工法を採用した理由は?

 現場は、高架の港北JCTと、地下に入っていく新横浜出入り口との間にある。傾斜しながら大熊川に架かる橋だ。この橋梁形式、工法を採用した理由について、首都高神奈川建設局横浜工事事務所の小嶋俊之所長に説明してもらった。

首都高速道路会社神奈川建設局横浜工事事務所の小嶋俊之所長(写真:勝田尚哉)
首都高速道路会社神奈川建設局横浜工事事務所の小嶋俊之所長(写真:勝田尚哉)
河川区域と架設現場
河川区域と架設現場(資料:首都高速道路会社)
(資料:首都高速道路会社)

 まず、現場は大熊川と江川が鶴見川へ合流する箇所で、河川区域内には橋脚を設置できないので、完成形として支間長158mを架設できる橋梁形式が必要だった。

 さらに、河川管理用通路の建築限界(高さ2.5m以上)を確保する必要がある。完成形として下層路面下の部材高さが1.2m以内に収める必要もある。

 施工条件としては、堤防上の道路とポンプ場の建物に挟まれた狭い用地であり、隣接工区では橋脚やトンネルなどの施工が並行していてヤードとして使えない。河川区域内に仮設杭や構台を設置する時期は11月~翌年5月の渇水期内に限られる。

 そのため、工期が長く大型クレーンが必要な本体の組み立てを河川区域外で済ませ、渇水期内だけで架設を完了させなければならない。これらの条件から、単径間トラス橋の送り出し工法による架設を採用した。

 完成すると、国内で最大支間長(橋長158m)のダブルデッキ単径間トラス橋になる。

 構成部材が軸力のみで設計される通常のトラス橋とは異なり、長い橋を軽量化できるトラス形式を採りながら、格点部の構造を工夫して曲げ・せん断力を考慮した立体ラーメン構造として設計している。トラスがゴツい印象を受けたのはそのためだ。

狭隘な作業スペース
狭隘な作業スペース(資料:首都高速道路会社)
完成後の河川管理用通路の建築限界
完成後の河川管理用通路の建築限界(資料:首都高速道路会社)
(資料:首都高速道路会社)