送り出し作業中の構台上の様子。画面奥向きに送り出されていく(写真:勝田尚哉)
送り出し作業中の構台上の様子。画面奥向きに送り出されていく(写真:勝田尚哉)

尺取り虫のようにジャッキを伸長して推進

 構台に上ると、支承部ごとに作業員が配置されていた。1サイクルで送り出す桁の長さは1m。各支承部の後ろでレールをクランプジャッキでつかみ、それを反力に推進ジャッキを伸長させて支承部を推進させる。1m進むと停止し、クランプジャッキを解放、推進ジャッキを縮長して次の送り出しの準備をする。これを繰り返す。尺取り虫の要領だ。

 送り出しは、近くでよく見ていても、少しずつ動いているのが分かる程度のゆっくりした速度だ。1mの推進ジャッキ伸長、つまり推進時の送り出しは1m進むのに3分かかり、準備作業を含めた1サイクルは10分。これを繰り返して4日間で約110mを送り出す。

 桁と構台のレールとの摩擦界面は、桁側(鉛直ジャッキ底面)のテフロン板と、レール側のステンレス板が接している。筆者が見たときは、準備作業時に通過した部分のステンレス板の盛り替えをしていた。

支承部の様子(写真:勝田尚哉)
支承部の様子(写真:勝田尚哉)
振り向くと支承が6つあるように見えるが、一番手前側はチェーンで吊ってある(写真:勝田尚哉)
振り向くと支承が6つあるように見えるが、一番手前側はチェーンで吊ってある(写真:勝田尚哉)

 左上の写真の2つの支承を背に、右上の写真の向きをみると支承が6つ、合せて支承が8つあるように見える。事前の説明では、支承は6つとのことだった。どういうことか。

 首都高の担当者に質問すると、次のように教えてくれた。送り出し3日目で先頭の支承が構台先端に達し、それ以上進むと機能しなくなる。また、3日目で連結桁も到達側トラスに達するようにしてある。そのため、4日目の前に、前から3点目の支承にその機能を盛り替えるのだという。

 よく見れば、右上の写真の最後支承、前から3点目はチェーンで吊ってあり、送り出し1日目の本日は全く機能していない。盛り替え日には、まずここに反力を導入し、最前の支承を撤去する。構台を最小化してあるのだ。