兵庫県は1月8日、同県が管理する神谷(こたに)ダムの堤体を利用して太陽光発電所を建設する計画を発表した。堤体などに容量が合計で約3000kWになる太陽光発電パネルを設置し、年間で約330万kWhの発電を見込む。同県によれば、ダムの堤体を利用して太陽光発電所を建設するのは全国で初めて。

神谷ダムに設置する太陽光発電パネルの完成イメージ(資料:以下の2点も兵庫県企業庁)
神谷ダムに設置する太陽光発電パネルの完成イメージ(資料:以下の2点も兵庫県企業庁)

 太陽光発電を計画している神谷ダムは、兵庫県姫路市豊富町に建設したロックフィルダム。堤高が79mで堤頂長は303.4m、総貯水容量は1660万m3。利水用のダムとして2000年度に完成した。

 同ダムの堤体の下流面は南向きになっているうえ、傾斜角度が約26度と太陽光発電に適している。下流側の平地も一部利用し、約3.2haに太陽光発電パネルを設置して発電する。

堤体を下流側から見たイメージ。右下は堤体の下の平地に設置する太陽光発電パネル
堤体を下流側から見たイメージ。右下は堤体の下の平地に設置する太陽光発電パネル

 太陽光発電所の建設と送電設備を整備するのに必要な事業費は、約13億円。これに、維持管理費や人件費などを加えると合計で約21億円になる。一方、発電した電気は関西電力に売電する。20年間で約28億円の収入を見込んでおり、収益は約7億円になるとみている。

 事業化に向け、まずは1月23日に外部の有識者などで構成する同県の「総合事業等審査会」(委員長:流通科学大学総合政策学部の森津秀夫教授)の判断を仰ぐ。事業費が10億円以上の新規事業は同審査会の対象になるからだ。審査会の許可を受けた後、県議会の承認を得て発注する。