「これからも伝える努力を続ける」

――今後、東北地方整備局ではどのような取り組みを展開するつもりですか。

 これまでに81回のパネル展示を実施しましたが、このほど、パネルのデザインを大幅に作り変えました。被災地の写真を見てもらって「すごい津波だね」で終わらないように。そこで我々が何を考え、どんなドラマがあったのかを伝えたい。短いキーワードで分かってもらえるように、デザインしています。

 庁舎内には震災展示室を設け、写真や映像のほか、津波が襲った時刻を指す壊れた時計などを展示する予定です。自治体が建設する記念館には、建設関連のコーナーをつくってもらおうと考えています。そのために、津波で粉々になった気仙大橋の橋桁などを保存しています。

 震災後に私の講演を聞いてくれた人は7000人になりました。部下を含めれば、その3倍の人に話をした計算になります。各人の努力に任せるだけでは難しいので、基本的な資料や動画を用意し、それぞれが自分の経験したことを加味して話せる仕組みにしています。こうした活動を、様々な局面で続けます。建設業界の方々とも、同じ方向を向いて取り組みたいと考えています。

津波被害を受けた仙台空港とその周辺に、全国から集めた排水ポンプ車を稼働させて24時間体制で作業した様子を伝えるパネル (資料:国土交通省東北地方整備局)
津波被害を受けた仙台空港とその周辺に、全国から集めた排水ポンプ車を稼働させて24時間体制で作業した様子を伝えるパネル (資料:国土交通省東北地方整備局)