「建設業界のトップは覚悟を決めるべきだ」

――打開策はあるのでしょうか。

 間違いなく、社会に伝えるべき内容はある。あれだけ献身的に被災地支援に動いた建設業界の努力を無駄にしてはなりません。もし、業界の幹部の方々がそう思われるなら、この機に広報リテラシーを磨き上げる覚悟を決めなければならない。体制から人づくりから、全てにわたって。

 自衛隊の写真を真似ても、それだけでは追いつけません。派遣先から戻った部隊が地元でパネル展示を開いたり、支援先の首長などを招いてイベントを開催したりと、彼らは幅広い活動を継続して行っている。組織のトップを広報担当者と位置付け、広報体制も整えています。

 広報活動がうまくいっている民間企業では、社長がそうした役割を果たしているケースが多いですね。広報部は不祥事の対応をするためだけの組織ではない。経営トップと一体的に動いてこそ、適切な情報発信ができる。建設業界のリーダー的な企業には、そこまでやってほしいと思います。もちろん、国交省にとっても大きな課題です。

インタビューに応じた国土交通省東北地方整備局長の徳山日出男氏。建設業界を挙げて情報発信に取り組む必要があると訴える (写真:日経コンストラクション)
インタビューに応じた国土交通省東北地方整備局長の徳山日出男氏。建設業界を挙げて情報発信に取り組む必要があると訴える (写真:日経コンストラクション)