被災地で高まる不信感
このような結果を招いたのが、被災自治体で頻発している入札不調・不落に関する報道だとみる関係者は少なくない。地元建設会社からは「仕事をえり好みして復興の足かせになっているといった雰囲気の報道が見られる」との声が上がる。
一方で、「震災復興という名目で困っている人の足元を見て商売をするのはやめてほしい」と訴える一般の回答者がいたのも事実だ。また、11年8月~9月には、震災関連の災害廃棄物処理業務をめぐる談合情報が相次いで報じられた。仮にいま、震災関連の工事で不祥事が明るみになれば、建設業界に与えるダメージは計り知れない。
建設業界は、復興に至るまでの長い道のりを、被災地とともに歩まなければならない。不信感を取り除くうえで、きめ細かな情報発信は欠かせない。日経コンストラクション12年3月26日号特集「伝わらなかった被災地支援」では、意識調査の結果をもとに今後の情報発信の課題について分析している。
■建設業界や公共事業に対するイメージを把握するため、日経BPコンサルティングの調査モニターと本誌読者を対象に、1月31日から2月6日にかけてインターネット上でアンケート調査を実施した。回答者数は784人だった
■建設会社、建設コンサルタント会社、建設資材・建設機械・建設関連機器メーカーに勤務している人を「建設業界の回答者」(回答者数366人)、それ以外の人を「一般の回答者」(同418人)と区分して集計した
■建設業界の回答者の勤務先は、建設会社が225人、建設コンサルタント会社が121人、建設資材・建設機械・建設関連機器メーカーが20人だった。一般の回答者の勤務先は、製造業が103人、中央官庁・地方自治体が78人、サービス業が67人、主婦が25人、流通・小売業が19人、学校・教育機関・研究機関が17人、高速道路・鉄道・電力・水道・ガス会社が14人、金融・証券・保険業が11人、学生が4人、無職が27人、その他が53人だった
■地域や属性による違いをさらに詳しく分析するため、東北3県(岩手県、宮城県、福島県)在住の183人、大学生以下の子どもを持つ女性197人からも、同様の方法で調査を実施して回答を得た(調査協力:日経BPコンサルティング)