放射性物質による土壌汚染の濃度を94%低減、清水建設

2012/01/26

放射性物質
清水建設
東日本大震災
土壌浄化
特集:東日本大震災

 清水建設は、放射性物質による汚染土壌を分級、洗浄して汚染物質を除去する「シミズ放射性物質汚染土壌洗浄システム」を開発した。福島県内にある小中学校の校庭の土壌を用いて実験したところ、汚染濃度を最大で94%除去できることを確認した。


汚染土壌の分級に使った2段湿式ふるい試験機とサイクロン試験機(写真:清水建設)
汚染土壌の分級に使った2段湿式ふるい試験機とサイクロン試験機(写真:清水建設)

超音波洗浄の状況(写真:清水建設)
超音波洗浄の状況(写真:清水建設)

 清水建設は以前から、重金属や油で汚染された土壌を浄化する技術を保有しており、これまでに約200万tの処理実績がある。この技術を応用した。

 重金属や油による汚染の場合、汚染土壌を粒径に応じてふるい分ける分級と、分級で得られた細かい土粒子から汚染物質を分離させる洗浄の2工程で行う。放射性物質の汚染土壌に対応するために、これらの工程に、汚染物質の剥離効果が高い超音波による洗浄を組み合わせた。

 汚染物質は細粒子分に多く吸着されていることから、分級と洗浄によって粒径63μm〜2mmの範囲の土粒子を浄化する。

 作業の手順は以下のとおりだ。(1)放射性物質汚染土壌を湿式ふるいにかけ、粒径2mm以上のものを取り除く。(2)ハイドロサイクロンと呼ぶ分級装置で、63μm以下の粒子をふるい分ける。これは脱水後、濃縮汚染土として埋め立て処分する。(3)63μm〜2mmの土粒子を洗浄処理装置に投入し、洗浄槽の中ですりもみ洗いする。洗浄層に起泡剤入りの薬液を加えてかくはんし、気泡に付着した微粒子を回収する。(4)洗浄液に超音波を照射。発生する衝撃波によって剥離した素粒子の表層を回収する。

 清水建設は、2011年6月以降、9カ所の校庭の汚染土壌を使って実験している。このうち、例えば1kg当たり4万900ベクレルで汚染されていたある校庭の土壌の場合、分級処理だけで同9520ベクレルに、洗浄処理まで実施して同3290ベクレルに、超音波洗浄まで実施して同2400ベクレルに、それぞれ汚染濃度を低減できた。超音波洗浄まで実施した場合の除去率は94%だ。


処理工程と放射能濃度の関係を示すグラフ。黄色が元の土壌、ピンクが分級処理後、青が洗浄処理後、緑が超音波洗浄処理後の放射能濃度を表す。校庭Aの土壌では94%の除去率を記録した(資料:清水建設)
処理工程と放射能濃度の関係を示すグラフ。黄色が元の土壌、ピンクが分級処理後、青が洗浄処理後、緑が超音波洗浄処理後の放射能濃度を表す。校庭Aの土壌では94%の除去率を記録した(資料:清水建設)

 実験には、実際のプラントと同じ性能を持つ試験用のミニプラントを使用した。今後、実際に土壌汚染処理業務を行う場合、プラントの設計と建設に3〜4カ月ほどかかる見込みだという。

 処理コストは、処理する土壌の量やプラントの規模によって異なるが、従来の重金属や油を対象とした処理コストに、超音波洗浄処理のコストが上乗せになる。濃縮汚染土の処理などには別途コストがかかる。

野中賢日経コンストラクション

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読者のコメント (1 件)  ※[ログイン]すると全文表示、投稿・投票ができます
福島県および周辺地域での除染では、除去した汚染土を洗浄して放射性物質を分離して減容する技術が不可欠で、この清水建設の技術も有用と見られる。ただし、「(2)ハイドロサイクロンと呼ぶ分級装置で、63μm以下の粒子をふるい分ける。これは脱水後、濃縮汚染土として埋め立て処分する。」とあるが、放射能汚染の場合は簡単に埋め立て処分はできない。可能な限り放射性物質を環境から分離して、最終処分場に隔離する必要がある。現状では「除染」と呼ばれている作業が「洗浄」に過ぎない場合が多い。ある場所の空間線量を減らせても放射性物質が移動するだけで、最終的には河川と海洋の汚染になってしまう。
(虫眼鏡 2012/02/06 00:06)

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