3月11日午後2時46分、日本の地震観測史上、最大となるマグニチュード9.0を記録した東日本大震災(地震名は東北地方太平洋沖地震)が発生した。12月9日時点で死者1万5841人、行方不明者3493人と、阪神大震災を大幅に上回る未曽有の人的被害を記録した。


 岩手県の三陸沖の深さ24kmの海底を震源に、三陸沖から茨城県沖に至る南北500km、東西200kmの非常に大規模な断層が破壊した。負傷者や建物被害などを含めると22都道県で被害報告が上がった。

 さらに、津波は東京電力の福島第一原子力発電所を襲い、放射能漏れを引き起こした。政府は4月12日、国際的な基準に基づく事故の評価を最悪の「レベル7」に引き上げた。

被害額は約16兆9000億円

 内閣府が6月24日に発表した被害額の推計値は、水道などのライフラインや住宅、道路などの被害額を合わせて約16兆9000億円に上った。ただし、原発事故に伴う放射能汚染による被害額などは含まない。

 被害のほとんどは津波によるものだ。東北各地で10mを超える津波が観測された。国土交通省によると、青森、岩手、宮城、福島の4県33市区町村での市街地の浸水範囲は約92km2で、3割に当たる28km2が「建造物のほとんどで流出や損壊が見られる」壊滅状態になった。

 河川を遡上した津波が、橋桁を流す被害も多発した。越流を想定していない堤防は裏法面が洗掘されて崩壊した。津波の第二波で防御効果を発揮できなかった堤防も多い。

 一方で、土木構造物の防災効果も実証された。例えば、宮城県の仙台平野を南北に走る仙台東部道路の盛り土が、津波による浸水を食い止めた。岩手県普代村では、過去の津波を考慮した高さ15.5mの防潮水門が、約14mの津波を止めた。

 また、国交省港湾局と港湾空港技術研究所によると、岩手県釜石市の湾口防波堤が津波の高さを約4割低減したり、到達時間を6分遅らせたりしたことが計算で分かった。