篠山紀信氏ら8人の日仏の写真家が撮影した東日本大震災の被災地の写真が、9月23日~25日に東京ミッドタウン(東京都港区)で開催されるアートイベント「TOKYO PHOTO 2011」に展示される。同イベント内で在日フランス大使館が主催する東日本大震災のチャリティー写真展への作品出品だ。

9月9日の記者会見の様子。右から2人目が写真家の篠山氏、3人目が在日フランス大使館のケルマシュター氏(写真:日経コンストラクション)
9月9日の記者会見の様子。右から2人目が写真家の篠山氏、3人目が在日フランス大使館のケルマシュター氏(写真:日経コンストラクション)

 参加する写真家は篠山氏のほか、田原桂一、川内倫子、長野陽一、フィリップ・シャンセル、ジェレミ・ステラ、エリック・レヒシュタイナー、ジャン=リュック・ヴィルムートの各氏。

 篠山氏は9月9日の記者会見で、「初めて津波の被災地を見たときは言葉がなかった。打ちのめされた。どれをどう撮ればいいか分からなかった」という心情を吐露した。津波でなぎ倒され赤く変色した松林、津波のときと違って静かにたたずむ海など、自然と向き合うことで視点が定まってきたという。「自然の破壊する力を畏怖し、畏敬の念を持って見るべきではないかという気持ちになったら、ものが見えてきた」と語った。

「TOKYO PHOTO 2011」で展示される篠山氏の写真の一つ。撮影場所は宮城県気仙沼市唐桑町(写真:篠山紀信)
「TOKYO PHOTO 2011」で展示される篠山氏の写真の一つ。撮影場所は宮城県気仙沼市唐桑町(写真:篠山紀信)

 同じ記者会見で、在日フランス大使館のエレーヌ・ケルマシュター氏は、篠山氏の写真を見て、墨絵のように繊細な風景写真や心に直接訴えかける繊細な肖像写真に感銘を受けたと言い、「同様の写真の展示がフランスでもできるといい。とりわけ篠山氏の写真をフランスの人々にも見せることができれば素晴らしい」と語った。チャリティー写真展の収益は、被災地の復興のために寄付する。その一部は、アーティストがイニシアチブを取った復興活動の支援に使うことも考えているという。

 「TOKYO PHOTO 2011」の開催概要は以下のとおり。会期=9月23日(金)~25日(日)。開催時間=午前11時~午後8時(25日は午後6時まで)。会場=東京ミッドタウンホールA(東京都港区)。入場料=当日券1300円、前売り券1000円。

 なお、篠山氏が撮影した東日本大震災の写真は、11月に日経BP社から写真集「ATOKATA」として発刊予定。日経コンストラクション6月13日号の「現場紀信」に掲載した写真の一部も収録する。