建設の是非が問われている八ツ場ダムについて、事業の検証を進める国土交通省関東地方整備局は9月13日、治水と利水の両面でダム建設が最も有利だとする評価結果を示した。ダムに寄らない案よりも、今後の整備に掛かるコストが少なく、早期の実現性が高いのが理由だ。同日開催された関東地整と利根川流域6都県の知事らとの検討会で示した。

 治水面では、ダム案のほかに、「河道掘削案」、既存の治水施設を活用する「渡良瀬遊水地案」、遊水地を新設する「新規遊水地案」、二線堤などを築いて流域全体で対応する「流域対策案」の計5案について、それぞれ七つの評価項目で検討した。

 評価項目の一つの「安全度」については、群馬県の八斗島・基準地点で目標流量1万7000m3/秒を確保すると設定。各案について、目標流量を満たすための施設整備に掛かる「コスト」を試算した。その結果、ダム案が約8300億円で最も少なく、ほかの案は約9300億~9600億円となった。

 10年後にどの程度効果を上げているかを想定する「実現性」の項目も、ダム案が最も高評価を得た。そのほかの「持続性」、「柔軟性」、「地域社会への影響」、「環境への影響」の4項目では、コストや実現性ほど各案の間に差は生じなかった。