建設中の東京スカイツリーで第一展望台を報道陣に初めて公開した3月6日、日経コンストラクションは写真家の篠山紀信氏とともに撮影に臨んだ。篠山氏が独自の視点で建設現場を撮る「現場紀信」という名物コラムのための撮影だ。

建設中の東京スカイツリーの第一展望台で撮影する篠山氏(写真:日経コンストラクション)
建設中の東京スカイツリーの第一展望台で撮影する篠山氏(写真:日経コンストラクション)

 東京スカイツリーは、日経コンストラクション2011年1月10日号の「現場紀信」で一度取り上げているが、その際は主に周辺の市街地から建設現場を撮影した。第2ラウンドとなる今回は、第一展望台や心柱(タワー中心部の鉄筋コンクリート造の円筒)など、主にタワー内部での撮影となる。建設中のタワーの高さはこの日までに609mに達しており、到達点の634mまで、あと25mを残すばかりだ。

 第一展望台は3層構造で、その高さはフロアごとに340m、345m、350m。高さ450mの第二展望台に上がるまでもなく、東京タワーの高さ333mを上回っている。2011年12月の完成を目指す第一展望台に降り立つと、窓ガラスには養生用のフィルムが張られ、さらにその外側には工事中の雪対策としてネットが掛けられていた。雪対策のネットなどは撮影の障害物になると考えがちだが、篠山氏はそうではなかった。逆に「今しか撮れないものがある」と、真剣なまなざしでシャッターを切っていた。条件の悪さを楽しんでいるかのように。

 撮影は「一期一会」だと言う篠山氏。「人に対しても現場に対しても、出会ったそのときを一番大切にしている」との氏の信条を垣間見た撮影現場だった。この日に篠山氏が撮影した写真は、日経コンストラクションの4月以降の発行号に掲載する予定だ。

第一展望台の窓の外には、工事中の雪対策としてネットが掛かっていた。ネット越しではあるが、東京港まで見渡すことができた(写真:日経コンストラクション)
第一展望台の窓の外には、工事中の雪対策としてネットが掛かっていた。ネット越しではあるが、東京港まで見渡すことができた(写真:日経コンストラクション)