菅直人首相は9月17日午前の閣議で全閣僚の辞表をとりまとめ、菅内閣は総辞職した。前原誠司国土交通相は閣議後に会見に臨み、政権交代から1年間の任期を振り返った。会見の詳細は次のとおり。

9月17日午前、内閣総辞職を閣議決定した後の会見に臨む前原誠司国土交通相(写真:日経コンストラクション)
9月17日午前、内閣総辞職を閣議決定した後の会見に臨む前原誠司国土交通相(写真:日経コンストラクション)

――任期を振り返っての総括と、次の国交相に望む姿勢は。

前原 この1年間、私は大きく二つのことをやってきた。

 一つは、人口減少、少子高齢化、また莫大な財政赤字のなかで公共事業の在り方の見直しを進めた。例えば、国幹会議(国土開発幹線自動車道建設会議)の廃止、できるだけダムに頼らない治水のために有識者会議をつくって評価軸の策定を進めた。

 港については、103の重要港湾を43に絞り込んだ。また、世界にしっかりと競争力を持つ港をもう一度立て直すために、国際コンテナ戦略港湾を選定した。航空では日本航空の再生と同時に、新たな空港を基本的に造らないことを決めた。そして、羽田の24時間国際拠点空港化を進めてきた。

 二つ目は、成長戦略だ。国交省所管の分野には成長分野がたくさんある。高速鉄道、高速道路、下水道、水ビジネス、挙げたらきりがない。様々な分野で高い技術とノウハウを持っている。これらを海外へ売り込んだ。

 住宅・不動産は、日本の経済、景気にとって極めて重要だ。まず経済の腰折れを防ぐために、住宅版エコポイント、フラット35の金利引き下げ、生前贈与非課税枠の拡大、建築基準法の運用改善、というものをやってきた。PPP(官民連携)や特定共同事業の見直しを、来年の法改正でやろうとしていた。

 この1年間は方向性を転換するということで、国交省のみなさんと協力して、方向転換の土台をしっかりつくり、いよいよこれから2年目はそれを実行していくところだった。今年の私の気持ちは有言実行だ。いよいよ実行する段階なので、(国交相に留任することになれば)引き続きしっかりやりたいという強い思いは持っている。