「5年に1回の講習では不十分」

事業仕分けの会場(写真:ケンプラッツ)
事業仕分けの会場(写真:ケンプラッツ)

 監理技術者講習制度については、義務付けの必要性に疑問が呈された。監理技術者講習は1995年にスタート。04年からは複数の登録機関が講習を実施する形になった。講習時間と講習内容は省令で定めている。

 仕分け人側は、「一級施工管理技士のような資格を持っている方々に対する講習にしては、内容が薄い。一日仕事を休んで、わざわざ受けるような話ではないのではないか。法律や制度が変わるので必要だというなら、ほぼ毎年変わっているので5年に1回の講習では不十分だ」と主張した。

 全国建設研修センター側は、受講者へのアンケート結果を根拠に、サービスの水準の高さを訴えた。仕分け人側は、「満足度は高いとしても、民間企業と同じ条件ではやっていない。天下りがいない真の意味での民間の講習が求められるのではないか」と反論した。

 質疑では、全国建設研修センターが、研修棟の建て替えのために資金を積み立てていることにも批判が集中した。仕分け人側は、「机といすと黒板があって、講師がいればできる。なぜ研修施設を自前で持ち、建て替える必要があるのか。他で借りることはできないのか」、「受講料の手数料の引き下げなどで還元する必要がある。固定資産を取得するというのは、何十年先のコストをいまの利用者に負担させるということだ」と追及した。国交省は最終的に、今後の公益法人見直しの中で、事業見直しを検討する旨を表明した。

「建設分野の資格制度全体の見直しを」

 こうした議論を経て、12人の仕分け人が下した判定は、次のようなものだった。

 監理技術者資格者証の交付については、「権限付与の廃止」が8人、「見直しを行う」が5人(重複あり)。津川議員は、「建設現場の安全・品質・環境、品質管理の適正性確保が重要であることは論をまたない。不適格業者の排除も重要だ」としながらも、資格者証の交付に効果があるとは認められないとして「廃止」と結論付けた。さらに、「建設業には資格が様々ある。資格制度全体の見直しをしてもらいたいとの意見もある」とも言及した。

 監理技術者講習については、「権限付与の廃止」が7人、「見直しを行う」が5人。見直しを行うとした意見には、実施主体を見直す、手数料などの利用者負担を見直すといったものだった。津川議員は、「義務としての監理技術者講習は廃止としたい」と締めくくった。