「本人確認は運転免許証でいい」

 資格者証の交付手続きは、申請者が保有する資格などを確認するもので、技術面で新たな審査や試験などはしていない。監理技術者の資格者証は、要件としている一級施工管理技士や一級建築士などの国家資格に屋上屋を架すものだと、仕分け人側は主張した。

取りまとめ役の民主党・津川祥吾衆議院議員(写真:ケンプラッツ)
取りまとめ役の民主党・津川祥吾衆議院議員(写真:ケンプラッツ)

 取りまとめ役の民主党・津川祥吾衆議院議員は、「資格者証が、本人確認のために現場でいるというなら、運転免許証でもいいのではないか。入札・契約の時に本人が資格を持っているのかという確認は、もともと国家資格を持っているのだから、その資格を確認すればいい」と問題提起。その上で、「そもそも論として、監理技術者制度を導入したことで何が良くなったのか。品質が担保されるようになったのか、安全性が担保されるようになったのか、不適格業者が排除されるようになったのか」とも述べた。

 08年度の資格者証の交付件数は約15万件で、建設業技術者センターに約11億円の収入があった。質疑では、官僚OBの常勤役員3人の報酬額が平均で約1600万円に上ることが明らかになった。仕分け人側は、交付手数料について高額だと批判した。

 国交省や建設業技術者センターは、現行の交付手数料について、「7600円の経費の中で、カード自体は150円ぐらいでできる。それ以外の経費は、申請通りに資格があるかを確認して、データベースに入れて管理するためのものだ」と説明した。仕分け人側は「コリンズ(工事実績情報システム)などがあり、監理技術者だけのデータベースをセンターが持つ必要がない」などと批判した。

 制度の必要性をめぐる双方の主張は、かみ合わないままだった。国交省は、「建設現場では様々な工事があり、監理技術者になれるルートは合計で70ぐらいある。資格者証があれば監理技術者であることが一目で分かる」などとメリットを主張。「約500万人の建設業従事者のうち、監理技術者の資格を持っているのは約60万人。現場に定着している実態はご理解いただきたい」などと説明した。

 「建設業界の大手も中小も、自分たちの負担があっても、こういう仕組みでやっていきたいとの声がある」との国交省の説明に対し、仕分け人が「うそだと思うから、電話してください。現場の誰でもいいから。全員いらないと言いますよ」と言い返す一幕もあった。