国土交通省が成長戦略として掲げる建設業の国際展開が本格的に動き出した。国交省は官民の有識者で構成する「海外道路PPP協議会」(座長:住友商事の岡素之会長)を設立し、5月19日に初会合を開催した。日本がこれまで培ってきた技術やノウハウをもとに、官民協働で海外での道路整備事業に積極的に乗り出す。

5月19日に開催した「海外道路PPP協議会」の初会合。ベトナム交通運輸省のドゥック副大臣らと意見交換した(写真:ケンプラッツ)
5月19日に開催した「海外道路PPP協議会」の初会合。ベトナム交通運輸省のドゥック副大臣らと意見交換した(写真:ケンプラッツ)

 PPP(官民連携)の海外展開は、国交省成長戦略会議の提言に盛り込まれた重要テーマの一つだ。日本の高速道路技術を海外に売り込み、民間企業の海外事業への参入を後押しする。国交省は08年度と09年度、「ベトナム国官民道路研究会」を開催。10年3月に最終報告をまとめた。新たな協議会では、これまでの議論で得た知見などを生かし、対象国をベトナム以外にも広げる。

 国交省総合政策局の藤森祥弘・官房技術参事官は、この日の会合で「協議会の目的は、個別具体的な案件を進めることだ」と説明。「急激な経済発展が進んでいるアジアの新興国では、膨大な事業が見込まれている。中国、韓国などの海外進出が激しい中、日本も官民連携し、プロジェクトの上流から下流まで一貫したジャパン・パッケージとして、スピーディな対応をしなければならない」と述べた。