前原誠司国土交通相は11月20日の会見で、国交省所管の財団法人「道路保全技術センター」について「3年以内に解散する」と語った。公益法人見直しの第一弾と位置付け、「徹底して国土交通省の公益法人のあり方を見直していく。天下りの根絶、民間でできることは民間に、こういう考え方の下で、不断のゼロベースの見直しを今後も順次行っていきたい」と述べた。元建設省技監の佐藤信彦理事長は退任する。

11月20日夕方、会見に臨む前原誠司国交相(写真:ケンプラッツ)
11月20日夕方、会見に臨む前原誠司国交相(写真:ケンプラッツ)

 道路保全技術センターの事業の中で、路面下空洞調査や、随意契約だったMICHIシステム(道路管理データベースシステム)の作成業務からは直ちに撤退する。道路橋の点検業務などは3年間で民間に任せられるか否かを検証する方針だ。10月1日時点の職員数は163人で、「民間でできると言うことならば163は0にする。民間でできないなら、最大25人ぐらいとして、他の財団に引き継ぐ。(国交省)OBは絶対に入れない」と述べた。

 道路保全技術センターについては、東京都内で行っていた路面下空洞調査で空洞を見逃していた疑いが相次いで発覚。会計検査院が10月、調査業務が適切に行われるように契約方式を改善することなどを国交省に求めていた。また、行政刷新会議が進める事業仕分けの直轄国道の維持管理を巡る議論の中でも、道路保全技術センターの技術力を疑問視する意見が多数あった。

 前原国交相は、この他の独立行政法人、公益法人についても順次見直す考えを示した。2010年度予算を対象に行政刷新会議が進めている事業仕分けについて、「恐らく来年は公益法人の事業仕分けが中心になってくると思う」として、「行政刷新会議に任せておくわけではなく、われわれも独自の見直しをやっていかなければいけない」と強調した。

 前原国交相は11月17日の会見でも、所管する公益法人の見直しを進める方針を明らかにしていた。「民間企業ができることを公益法人がやっている。何の存在意義があるのか」と述べ、道路保全技術センターと各地の建設弘済会を具体的に挙げ、「まずはこういったところから見直したい」と述べていた。