政府の行政刷新会議のワーキンググループによる「事業仕分け」が11月11日に始まった。2010年度予算の概算要求の“無駄”を公開で洗い出す。土木・建築分野では2日目までの作業で、農道整備事業が「廃止すべきだ」、下水道事業やまちづくり関連事業が「地方自治体へ移管すべきだ」と判定された。

会場となった国立印刷局市ケ谷センターの体育館。2010年度予算概算要求の無駄を洗い出す「事業仕分け」の作業が進む。「仕分け人」と省庁側の担当者が攻防を繰り広げる(写真:ケンプラッツ)
会場となった国立印刷局市ケ谷センターの体育館。2010年度予算概算要求の無駄を洗い出す「事業仕分け」の作業が進む。「仕分け人」と省庁側の担当者が攻防を繰り広げる(写真:ケンプラッツ)

 事業仕分けは、国会議員と民間人からなる「仕分け人」が3グループに分かれ、11月27日までに計9日間実施する。行政刷新会議が選んだ447の事業・組織を約220項目に分類して検討する。まずは事業を所管する各省庁と査定側の財務省の主張をそれぞれヒアリング。1項目当たり、1時間ほどの議論を経て、(1)廃止(2)地方自治体や民間へ移管(3)予算計上見送り(4)予算要求の削減--などの判定を行う。ワーキンググループは行政刷新会議に報告。正式決定後に、2010年度予算の査定に反映する。

 仕分け作業に先立ち、あいさつした行政刷新会議の加藤秀樹・事務局長は、「中身の濃い議論をしていただきたい。事業仕分けは結果で白黒というのが大いに注目されるが、もっと大事なのは議論のプロセスだ」と述べた。また、統括役の枝野幸男・民主党元政調会長は「現場の事情に詳しい民間の方も加わっていただき、納税者、国民の視点で各事業の進め方が本当に良いものかを示したい」と語った。

11月11日午前に開かれた開会式。あいさつする行政刷新会議の加藤秀樹・事務局長ら(写真:ケンプラッツ)
11月11日午前に開かれた開会式。あいさつする行政刷新会議の加藤秀樹・事務局長ら(写真:ケンプラッツ)

道路整備、河川改修は「見直しが必要」

 土木・建築関連では2日目までの作業で、廃止と判定されたのは農林水産省所管の「農道整備事業」(要求額168億円)のほか、国土交通省所管の「国土・景観形成事業推進調整費」(同200億円)、農水省所管の「里山エリア再生交付金」(同84億円)と「田園整備事業」(同6億円)。

 地方自治体へ移管すべきだと判定されたのは、国交省所管の「下水道事業」(同5188億円)と農水省所管の「農業集落排水事業」(同54億円)、国交省関連の「まちづくり交付金」をはじめとする「まちづくり関連事業」(同1821億円)。

 予算要求から削減すべきだと判定されたのは、国交省・農水省が所管する「港湾・漁港・海岸・河川環境整備事業」(同203億円)。国交省が所管する「直轄国道の維持管理」(同2325億円)、「直轄河川・直轄ダムの維持管理」(同1254億円)はいずれも、予算要求の10~20%の削減という数値目標が設定された。農水省所管の「かんがい排水事業」(同1774億円)は、約20%の削減となった。

 注目を集めた「道路整備事業」(同1兆2332億円)、「河川改修事業」(同1945億円)は、予算の見直しが必要だとの指摘にとどまった。