外環道は用地費など執行停止、整備新幹線は継続

 削減額9170億円のうち、道路関連が3890億円で4割超を占める。4月末の国土開発幹線自動車道建設会議(国幹会議)で4車線化が決まった高速道路6区間は2613億円の補正予算をすべて執行停止にする。同じく国幹会議で新規着工が決まった東京外かく環状道路の関越自動車道─東名高速道路間は71億円の補正予算のうち、用地費と補償費の66億円の執行を停止する。

 前原誠司国交相は国幹会議の廃止を明言している。ただし、民主党議員も参加した国幹会議での決定を尊重する意向も示している。馬淵副大臣は9日の会見で、執行停止について「中止ではなく留保」だと繰り返し述べた。馬淵副大臣は、新規着工路線の事業主体がまだ決まっていないことや、国と高速道路会社による合併施行方式という整備手法の問題を上げ、新たな計画決定の仕組みをつくるまでは着工を見合わせる考えを示した。

 道路は大幅に削減する一方、整備新幹線に付けた733億円の補正予算は全額継続を認めた。明暗を分けた道路と新幹線だが、線引きの基準は不明確だ。整備新幹線は全額認める理由について、査定を担当した藤本祐司政務官は、「地方議会ですべて議決済みで、執行を止めれば影響が大きい」と説明した。しかし、道路にも地方議会で議決済みの事業はある。馬淵副大臣は会見で、「総合的に判断した」と繰り返した。

 また、前原国交相が成長分野として重視する大都市の空港と港湾の補正予算は残した。羽田空港のC滑走路延伸事業は継続。スーパー中枢港湾の機能強化も継続する。半面、地方空港などの整備のための補正予算は大幅に削減する。