東日本旅客鉄道(JR東日本)は、10月以降、中央快速線の東京~高尾の24駅と、立川~八王子付近の18踏切に青色のLED照明を導入する。山手線全29駅に青色のLED照明を導入するのに続いての設置となる。青色照明は人を落ち着かせる効果があり、自殺防止にもつながるとされている。JR東日本では自殺件数の減少などの効果が認められれば、さらに導入を拡大すると説明している。

青色のLED照明(山手線大崎駅。写真:東日本旅客鉄道)
青色のLED照明(山手線大崎駅。写真:東日本旅客鉄道)

 青色の照明は飛び込みが多いホーム端部に設置する。ホーム端部が暗い一部の駅では、既に自殺予防策として水銀灯を端部に設置して明るくしていたが、その場合でもさらに青色のLED照明を追加する。LED照明の導入コストは山手線全駅分で約1500万円。LEDを採用するのはCO2削減の観点からで、他の青色照明より効果が高いという判断ではない。

 JR東日本では、鉄道への飛び込み自殺対策に苦慮している。同社東京支社管内での自殺件数は、2006年度が42件(山手線9件)、07年度が58件(15件)、08年度が68件(18件)、09年度は8月末までに19件(4件)となっている。青色照明の沈静効果は科学的に立証されたわけではないが、鉄道駅のほか防犯灯などでも利用例が増えている。JR東日本では効果が見込めそうな対策は青色照明に限らず積極的に導入している。

表●JR東日本の主な自殺予防対策(中央線のLED照明設置以外
青色LED・高崎線3駅12踏切で09年2月から設置(北上尾駅、桶川駅、北本駅。踏切は北上尾~北本付近の12カ所)
・宇都宮線蓮田駅で09年4月から設置
・09年9月10日~14日 山手線の東京・有楽町・新橋・浜松町・田町・品川・大崎の7駅13カ所に設置
・09年10月1日以降、山手線残り22駅34カ所に設置
青色蛍光灯荻窪、西荻窪で09年7月31日から設置
鏡の設置新宿(山手線)、荻窪(中央快速線)
安全センサー荻窪、吉祥寺(中央快速線)
その他対策・社員やガードマン等によるホーム巡回
・ホーム照明増設
・「社団法人いのちの電話」による「いのちのホットライン」の講演(1999年~)
「自殺予防いのちの電話」フリーダイヤルの周知(09年9月~)