
2008/10/22
東海旅客鉄道(JR東海)は10月22日、東京都から大阪市に至るリニア中央新幹線のルート案を盛り込んだ地形・地質調査報告書を国土交通省に提出した。
甲府市付近から名古屋市付近までは、木曽谷を迂回(うかい)するAルートと伊那谷を迂回するBルート、3000m級の山が連なる南アルプス(赤石山脈)の下を直線的に貫通するCルートの三つのルートを設定。土かぶりの大きい長大トンネルを施工しなければならないCルートを含めて、各ルートともに「建設が可能である」と判断した。JR東海が中央新幹線の建設可能ルートを明らかにするのは初めて。
●報告書で設定した三つのルート

(注)JR東海の資料を基にケンプラッツが作成
報告書は全国新幹線鉄道整備法に基づいて、JR東海と独立行政法人の鉄道建設・運輸施設整備支援機構が共同でまとめた。両者は1990年から、地表踏査や弾性波探査、ボーリング調査などを実施。縮尺が20万分の1の総括地質平面図を作成した。さらに、土地利用の状況なども調べたうえで、現在の土木技術で施工できるかどうかを検討した。
南アルプスを貫くCルートのトンネルは、全長約20kmで土かぶりは1400m程度になると想定。地山の地質は、凝灰角れき岩や粘板岩、砂岩などの比較的良好な堆積(たいせき)岩が主体だが、一部に膨張性の蛇紋岩がある。南アルプスの東側にある糸魚川・静岡構造線の破砕帯の周辺などでは、トンネルの切り羽の自立や大量の湧水が課題になるほか、大土かぶり区間では地山の塑性押し出しが生じる恐れもある。
報告書では、これまでの山岳トンネルの施工実績から判断すれば、施工できると結論付けた。例えば、82年に開業した全長22.2kmで最大土かぶり1300mの上越新幹線大清水トンネルや、2008年に開通した全長10.7kmで最大土かぶり1000mの東海北陸自動車道飛騨トンネルなどだ。
国交省は2008年内にも、中央新幹線の「輸送力」や「施設などの技術開発」、「建設費」などについて、両者に調査の実施を指示する。これらの調査報告書がまとまった後に、ルートを一つに絞り込み、国交省が営業主体と建設主体を指名。整備計画の決定などを経て着工となる。
JR東海が、Cルートを前提に約290kmある首都圏〜中京圏間のリニア中央新幹線の建設を自己負担で実現すると発表したのは2007年12月。2025年の開業を目指す。同区間の事業費は、地域負担を求める中間駅の設置費用を除くと、建設費と車両費で計5兆1000億円に上る。同社の松本正之社長は10月20日の記者会見で、時期は未定ながら名古屋〜大阪間も自己負担で建設する意欲を示した。
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