構造的な欠陥は力の掛かる部分に

 凍害は、コンクリート中の水分が凍結と融解を繰り返すことで劣化する現象だ。コンクリートの品質が劣る場合や、適切な空気泡が連行されていない場合に発生しやすい。

 劣化の初期は、表層下の骨材粒子などの膨張による破壊で表面に円錐状の剥離(ポップアウト)ができる。次に微細ひび割れやスケーリングが発生し、最後は崩壊に至る。

 コンクリート強度や断面強度の不足、設計や施工時の不具合などの構造物の欠陥によって生じる劣化もある。

 橋梁の上部構造を一例に挙げると、支間中央部や支間の4分の1付近、桁端部の支承付近の3カ所にひび割れが生じやすい。いずれも緊急の対策が必要となる劣化だ。

 支間中央部は、曲げモーメントが最大となる位置であり、構造的な欠陥があると橋軸直角方向に曲げひび割れが発生する。RC桁では設計上、ひび割れを許容しているが、極端に幅や本数が多いと耐久性が低下する。

 経年劣化や構造的な欠陥、初期劣化以外でも、見落としがちな変状として、構造物全体の沈下や傾斜、移動がある。基礎部分の異状に関連することが多いので、遠方から構造物全体を見ないと気付きにくい。もし、変状があれば、すぐに対処が必要だ。

<書籍「図解 維持・補修に強くなる」から抜粋して再編集>