公共投資の伸びは一段落したものの、相変わらず高い水準を維持しています。これを受けて、建設関連の企業も好決算が続いているようです。

 日経コンストラクションでは5月11日号で、特集「建設コンサルタント決算ランキング2015」を企画しました。本誌のアンケート調査に回答した162社の決算内容から、業界の好調ぶりが改めて明らかになりました。


日経コンストラクション2015年5月11日号特集「建設コンサルタント決算ランキング2015 次なる成長へ働き方改革」から
日経コンストラクション2015年5月11日号特集「建設コンサルタント決算ランキング2015 次なる成長へ働き方改革」から

 調査対象は、2014年1月~12月に期末を迎えた決算です。前期に比べて売上高が増えた会社は86%に達しました。本誌は昨年から調査対象期間を変えたので単純には比較できませんが、増収だった会社の割合は3年連続で増えています。建設投資が右肩下がりを続けていた10年度以前から見ると、業績は文字通り、V字回復してきたと言えるでしょう。

 一方で、15年1月期~12月期の売上高の見通しを尋ねたところ、「増加する」と「横ばい」がぞれぞれ4割、「減少する」が2割と、慎重な答えが返ってきました。これまでは震災復興業務も数多く発注され、悪く言えば「仕事が勝手に降ってくる」状態。各社が慎重な見通しを示しているのは、いつまでもそれが続かないことを感じ取っている結果と言えるでしょう。

 先行きの不透明感もちらつくなかで、次なる成長のためには何が必要なのか。その一つの答えが、特集のタイトルに掲げた「働き方改革」ではないでしょうか。公共事業の発注量が減ってくれば、再び競争は激化します。単に仕事量をこなすだけでなく、より付加価値の高い仕事、ライバルの少ない新しい分野の仕事ができる人材が欠かせません。とはいえどの会社も、いまは新しい人材の確保がままなりません。

 特集記事では、女性や外国人など、これまで建設産業にあまり縁のなかった人に門をたたいてもらうべく、時短勤務、在宅勤務、地域限定社員など、多様な働き方を採り入れている企業の取り組みを紹介しました。こうした制度の導入によって、女性や外国人に限らず全ての社員が働きやすくなるはずです。

 ただし、制度を設けても利用者がほとんどいないという話は珍しくありません。建設産業に能力の高い人を呼び込み、高い能力を発揮してもらうには、仕組みづくりだけでなく、多様な働き方を認める“文化”こそが欠かせないと考えます。