点検で得られた画像を、同じような状態の画像やその診断結果と簡易に見比べることができれば、劣化診断の精度を高められる──。

 そんな期待を抱かせる技術の実用化を目指すのが、東日本高速道路会社と東京大学、北海道大学だ。橋の点検で得た画像データと類似した変状データを自動的に検索するためのシステムを、共同で開発している。

東日本高速道路会社などが開発を進めている画像の検索システムにおける表示画面。登録された画像と似た画像を表示する仕組みになっている(資料:東日本高速道路会社)
東日本高速道路会社などが開発を進めている画像の検索システムにおける表示画面。登録された画像と似た画像を表示する仕組みになっている(資料:東日本高速道路会社)

 手始めの開発として、同社がこれまでに取得してきた遠景と近景を組み合わせた静止画像のデータ約8万件をデータベース化。画像間の類似性を把握できるようにした。

 画像の類似性把握では、四つの項目に着目する。一つは色の面積。同じ色が全体に占めている割合に応じて類似性をつかむ。

 二つ目は、輪郭線の分布だ。画像内の物体などが構成する輪郭線の配置から類似性を判断する。

 三つ目は、色の分布。同じ色の位置から画像が似ているか否かを比べる。残り一つは、画像内部に存在する特徴的な形状の把握だ。

東日本高速道路会社などが開発を進める画像の検索システムで比較する項目。東日本高速道路会社への取材をもとに、日経コンストラクションが作成
東日本高速道路会社などが開発を進める画像の検索システムで比較する項目。東日本高速道路会社への取材をもとに、日経コンストラクションが作成