既存の監視インフラを生かす

 カメラをアンダーパス部に設けた上里町では、車両の減速などを見つけ出し、アンダーパス部の冠水の有無を把握する狙いがある。

 二つの自治体で取り組んだ試験では、監視開始から現時点まででインフラに異状は生じていない。

 そのため、インフラの異状検知例はまだない。ただ、神戸のトンネルでは工事に伴う車線規制でトンネル内の交互通行を実施した際に、車の逆走を把握できた。

 カメラや電源、通信施設がない場所に、このシステムを導入すれば、数百万円オーダーの費用が要る。ただ、現在でもトンネルや橋など、カメラによる監視を行っているインフラは存在する。

 こうした施設であれば、撮影用のインフラに開発した解析システムを付加すればよく、コスト負担を抑制できる。

 それでも、このシステムをビジネスの土俵に乗せるには、「監視対象のインフラ数を50くらいのオーダーにする必要がある」と、オリエンタルコンサルタンツ事業本部の橘義規副本部長は語る。

 実証試験の知見なども生かし、大規模な自治体や自治体の広域連携などでの導入を目標に据える。