狙いは市町村の生活道路

 路面性状測定車で道路75mを撮影した動画を用いて、自動解析の精度を確認したところ、人が同じ部分の画像をもとに判定した結果との整合率は、75%ほどだった。

 自動車にGPS(全地球測位システム)やカメラなどを搭載して道路空間の情報を得るモバイル・マッピング・システム(MMS)で取得した映像を使って自動解析した場合の整合率は約70%となった。

 動画の解像度が上がれば、その分、測定精度は上がる。路面性状測定車を使って取得した動画であれば幅1mmのひび割れを検出できる。

 半面、スマートフォンなどを車載して撮影した場合は、検出できるひび割れ幅が、数ミリメートル程度に落ちる。

 「輝度の変化を捉える手法なので、樹木や電線の影などの影響を受けやすい。さらに、高機能舗装の判定は難しいなど、条件に応じて判定精度は変わる」と、東芝研究開発センターの岡田隆三研究主幹は言う。

 改善の余地は残るが、同社はこのシステムの需要は小さくないとみる。道路の状態を示すMCIと呼ぶ指標を測るための費用を投下できない市町村道などは膨大だからだ。

 同社は道路の異状点検コストについて、MMSで得た動画からひび割れ率を求める場合で、従来の路面性状測定車を使う場合の半分程度に抑える方針を掲げる。今後、実証試験などを通じて実用性を確認する意向だ。