東日本大震災から間もなく丸4年。被災地の復旧・復興は徐々に進みつつあります。この1年では、三陸鉄道の全線での運転再開、宮城県の石巻・気仙沼・荒浜各漁港の復旧工事の完了、工事が中断していた常磐道の全線開通など、新たな進展もありました。

 震災直後、土木技術者に限らず多くの関係者が、無我夢中で復旧に向けて突き進み、そこで生まれたたくさんの物語をメディアが報じました。しかし、時間がたって復旧が落ち着きだし、復興へと局面が移るにつれて、どうしても一般メディアの報道量は減っていきます。

 しかし、復旧が落ち着いたからこそ、関係者の間には様々な不安や不満が出てきます。復興に当たる土木技術者は、それらと向き合いながら日々、奮闘しています。

 そこには、震災直後とは違った物語がありました。日経コンストラクション3月9日号では、復興に向けて被災地を駆ける8人の土木技術者を追いました。


日経コンストラクション2015年3月9日号特集「8人の復興奮闘記」から
日経コンストラクション2015年3月9日号特集「8人の復興奮闘記」から

 震災復旧では、短期間でインフラを元の姿に戻すことが最優先されます。一方の復興では、復興そのものにとどまらず、復興事業で新設するインフラをより維持管理しやすいものにする、復興で得たデータで「次なる災害」に向けた備えをするなど、新たな取り組みが始まっています。技術者たちは、人々がかつての生活を取り戻すことに加え、震災を機に新たな価値を生み出すことまで考えて復興に当たっているのです。彼らが何を思い、どう行動したのか。特集記事をぜひお読み頂きたいと思います。

 また、特集記事のラストで紹介した深松組(仙台市)の深松努社長のように、本業の傍ら、震災の教訓を全国に伝道する活動に力を注いでいる人もいます。被災地以外で生活する人にとって、震災の記憶はより早く薄れがちです。しかし、震災はいずれ、必ず別の場所で起こります。震災から時間が経過した今こそ、こうした活動の重みも増してくるのだと思います。

 間もなく幕を開ける2015年度は、集中復興期間(5年間)の最終年度となりますが、阪神大震災でもそうだったように、復興は5年で終わるわけではありません。日経コンストラクションではこれからも、被災地の一刻も早い復興のために、微力ながら役立ちたいと考えています。