東日本大震災の被災地では、復興道路や復興支援道路の建設で、多くの橋やトンネルが急ピッチで建設されています。「粗製乱造」が懸念されるところですが、現地では全く反対の動きが起こっていました。

 今できる最高品質のコンクリートへの挑戦――。日経コンストラクション11月24日号では、東北地方で始まったこの取り組みを軸とした特集「新設コンクリート革命」を企画しました。


日経コンストラクション2014年11月24日号特集「新設コンクリート革命」から
日経コンストラクション2014年11月24日号特集「新設コンクリート革命」から

 コンクリートの耐久性を高めようという動きを「革命」と表現しましたが、新開発の材料や最新の施工機械を使うといったやり方ではありません。その手法はむしろ地道なものです。

 例えば、これまでコンクリート構造物の検査の際、主に強度と出来形のみが求められていました。国土交通省東北地方整備局ではそれらに加え、「表層の密実性」にも着目。そのために特記仕様書に盛り込んだのが、発注者の監督員が打ち込み時の基本事項を確認する「施工状況チェックシート」の活用と、表層の見栄えでコンクリートの品質を判断し、得られた改善点を次の打設サイクルに生かす「目視評価法」の導入でした。先行的にこの方法を取り入れたトンネルがこの10月に竣工しましたが、性能の良いコンクリートの打設に成功しています。

 しかし、なぜ大量のものを短期間に造らなければならない局面で、あえて品質に着目したのでしょうか。復興道路と復興支援道路の整備によって、東北地整の管理する橋は一気に1割も増えます。維持管理が中心になる時代だからこそ、新設構造物が次世代に与える負担を少しでも軽減しようと考えたわけです。

 東北地方で脚光を浴び始めたコンクリート高耐久化への取り組みですが、実は全国各地にじわじわと広がっています。特集記事では、地域の条件に応じた仕様の導入や、独自のチェックシートの活用など、高耐久化に向けた各地の「革命」も取り上げています。