装置の開発に四苦八苦

 開発で苦労しているのが、現場での運用方法だ。当初、軌道上を走るディーゼル式の保守用車両で検査装置をけん引する方式を考えていた。ところが、車両の騒音や振動の影響で正確に計測できない。防音壁で装置を囲み、内部に除振装置を仕込んでなんとか対処した。

 騒音や振動の影響は抑えられたが、他にも課題は残っていた。軌道上を走行するタイプだと、他の保守用車両との時間調整が必要になるなど、作業時間が限定されるのだ。そこで、点検用の「中央通路」に収まる検査装置を製作。幅約1mの通路を自走できるように小型化した。現在、使い勝手をより良くするために、装置のさらなる改造に取り組んでいる。

 今後は、トンネル内面の展開写真などと組み合わせた運用方法も検討する。一案が、コンクリート表面の画像でひび割れ箇所を抽出し、その周辺をレーザーで入念に点検する方法。点検結果を写真上に記して劣化の進行を追うことも考えられる。

軌道上を保守用車両でけん引するタイプの検査装置。トラックに積めば、道路トンネルにも使えそうだ(写真:JR西日本)
軌道上を保守用車両でけん引するタイプの検査装置。トラックに積めば、道路トンネルにも使えそうだ(写真:JR西日本)

中央通路を走れるようにした検査装置。両端のけん引車、レーザー車、電源車から成る(写真:JR西日本)
中央通路を走れるようにした検査装置。両端のけん引車、レーザー車、電源車から成る(写真:JR西日本)