民間企業とJVで進出

 北九州市は水道事業の海外展開で日本国内では一歩先行く自治体だ。同市が先導して2010年8月に設立した北九州市海外水ビジネス推進協議会の11年3月~13年9月の海外の水道事業での収入は、5億2300万円に及ぶ。計画の策定業務など12件を獲得した結果だ。

 下水道関連の業務の獲得も目立ってきた。14年2月からの契約で、インドネシア・ジャカルタ特別州の下水道整備に関する調査業務を日水コンと日本工営、オリエンタルコンサルタンツ、ウォーターエージェンシーとのJVで受注している。

 様々な海外事業のなかでも、同市がひときわ高い成果を上げているのが、カンボジアでの水道事業だ。同国では、主要9都市における水道基本計画のコンサルティング業務やシェムリアップにおける水道施設の拡張事業などを実施している。13年8月には、同国のコンポンチャムおよびバッタンバン上水道拡張計画の事業のコンサルティング業務を、日水コンと建設技研インターナショナルとのJVとして契約した。

 カンボジアでの成功の発端は、1999年に市が始めた国際技術協力だ。20年に及ぶ内戦が91年に終結。首都プノンペンでは、日本などの資金援助を受けた水道インフラなどの構築が進んだものの、その運用が課題となっていた。使いこなす技術や人材が不足していたのだ。