要望の重複を防ぐ

 これまで、市にはインフラに関して膨大な要望が寄せられていた。道路であれば、年間約1万2000件に達する。しかし、こうしたやり取りの多くは電話によるものだった。

 そのため、位置や異状の正確な情報を把握するには、手間を要した。さらに、住民と市の職員が1対1で対応していたので、ほかの住民が出した要望がブラックボックスに入った状態となり、通報の重複が避け難い状況にあった。

 加えて、電話での対応であれば、どの程度の損傷であれば対応してもらえるのかが分かりにくい。他の損傷事例などがウェブ上に公開されることによって比較が容易になり、報告や通報を要する水準も伝わりやすくなる可能性が高まる。

 9月からの本格導入を図る前の13年に、市はこのシステムの社会実験を実施した。実験に参加した市民の数は同年7月から9月までで765人。さらに、市の職員も391人が参加した。実証実験におけるシステム開発では、日本マイクロソフトが無償で協力した。

 住民にインフラを監視してもらう仕組みの本格導入に当たって、市は正式なシステム開発と5年間の運用をまとめた業務の入札を実施。その結果、千葉システムコンサルタント(千葉市)が約5400万円で落札した。同社は、セールスフォース・ドットコムのプラットフォームを利用してシステムを構築した。