市は撤去に向けた提案を始める

 撤去に向けた手続きは、以下のようにして進める。まずは、既に述べたような三つの観点をもとに、市が撤去候補となる横断歩道橋を選定する。この撤去候補については、横断歩道橋の利用実態調査を5年ごとに実施して、見直しを図る。

 撤去候補を決めた市は、地元の住民などに横断歩道橋の撤去を提案する。この提案は、町内会長やPTAなどが参加する意見交換会において示す。

 意見交換会で撤去の提案が認められると、住民代表や市の職員で構成する協議会を設ける手はずになる。協議会において改めて撤去が認められれば、市側で代替の交通安全対策などを調整し、撤去が可能だと最終判断できた場合には撤去を実施する。

市が横断歩道橋の撤去を提案して撤去を進めるまでの手続き(資料:札幌市)
市が横断歩道橋の撤去を提案して撤去を進めるまでの手続き(資料:札幌市)

 南区内に位置する藻岩下横断歩道橋は、この流れのなかで、既に協議会が撤去を決める段階まで進んだ。市による提案から協議会まで進んだ横断歩道橋は、ほかにも豊水横断歩道橋と菊水西町横断歩道橋がある。

 インフラの老朽化に伴う既存施設のダウンサイジングは、将来の維持管理を持続可能なものにしていくうえで欠かせない考え方だ。札幌市の先例は、数多くの自治体にとっても参考になるに違いない。

 日経BP社は10月22日に、将来のインフラ市場の動向を豊富な事例に基づいて分析・解説した「2025年の巨大市場/インフラ老朽化が全産業のチャンスに変わる」を発行。既に販売を開始している。

 同書では、本記事で記した札幌市の事例をはじめ、大阪市のごみの管路輸送システムの廃止をめぐる動きなど、インフラの整理・統合に向けて一歩先行く自治体の取り組みを紹介している。そのほか、橋や舗装といった施設のアセットマネジメントの最新動向なども示した。