インフラの“リストラ”を始めている自治体がある。札幌市だ。しかも、自治体側から撤去に向けた話を進めていくという先進的な取り組みだ。これまでは、住民など利用者側から声が上がらなければ、インフラの廃止に踏み込むことは難しかった。

 リストラの対象となるのは、横断歩道橋だ。2014年8月には、市の職員と住民などが議論する協議会において、撤去に対して賛成者が多数となる横断歩道橋が出てきた。自治体主導のインフラ整理は、着実に歩を進めている。

 市は12年度に、横断歩道橋の撤去に向けた論点や考え方などを整理するために、有識者による「札幌市横断歩道橋のあり方検討委員会(委員長:萩原亨・北海道大学大学院工学研究院教授)」を設置した。

 そして同委員会は13年3月、歩道橋を撤去するまでの手続きや、撤去候補を選定する際の考え方などを整理した提言書を作成。市長に提出していた。

有識者による「札幌市横断歩道橋のあり方検討委員会」は、施設の撤去候補を決める際の考え方をまとめて、札幌市長に提言した(写真:日経コンストラクション)
有識者による「札幌市横断歩道橋のあり方検討委員会」は、施設の撤去候補を決める際の考え方をまとめて、札幌市長に提言した(写真:日経コンストラクション)

 これを受けた市は横断歩道橋の撤去に対する考え方をまとめ、撤去候補となる歩道橋を選定していった。