2013年度の建設各社の決算は、おしなべて好調でした。日経コンストラクションが調査したところ、2013年度の売上高が前期を上回った会社は、アンケートに回答した122社の約7割を占めました。完成工事総利益率(粗利率)も、6割の会社で前期より増加しています。

 日経コンストラクション9月22日号の特集は、毎年この時期恒例の「建設会社決算ランキング」です。前述のように、アンケート調査を実施して、各社の経営動向を探りました。


日経コンストラクション2014年9月22日号特集「建設会社決算ランキング2014 目先の工事に踊れない」から
日経コンストラクション2014年9月22日号特集「建設会社決算ランキング2014 目先の工事に踊れない」から

 2010年の記事を振り返ってみます。民主党政権下で、かつ東日本大震災が発生する前のタイミングで掲載した特集「建設会社決算ランキング2010」は、「『国内公共』に固執しない生き方」というサブタイトルを付けています。公共事業量の右肩下がりが続くなかで、各社は生き残りをかけ、土木の周辺にある成長分野に進出しようとしていました。

 その後、東日本大震災の復興、安倍政権の様々な経済対策、東京五輪開催に向けたインフラ整備など、環境は急変しました。最近の公共事業の活況ぶりを見ると、わずか4年前とはいえ隔世の感すらあります。

 ですが、各社は今の状況を冷静に受け止めています。アンケート調査で各社が示した14年度受注高の見通しによれば、13年度より「減少する」と回答した企業は35%と、「増加する」の26%を上回りました。必ずしも「公共事業が減ってくる」と感じているわけではなく、技術者不足が受注に影響するとみている会社も多いようです。

 新卒採用・中途採用ともに増やそうと考えている企業が多くなっていますが、公共事業の増加基調が長続きしないことは明らかです。各社は「宴のあと」を見据え、維持・補修や海外事業など、成長分野に打って出る姿勢を示しています。業績好調のいまこそ、かつて描いていたように、成長分野への足がかりを築いておくことが求められます。