長年、建設技能者を送り出してきた工業高校が、全国的に減り続けています。高校の工業科で学ぶ生徒は1990年に約49万人いましたが、2013年は約26万人。建設産業の“入り口”に立つ若者が大きく減っているわけです。こうした情勢のなか、若手をいかにして建設産業に呼び込み、定着させるか――。人材不足を根本的に解決できるか否かは、ここに懸かっていると言っていいでしょう。
日経コンストラクションでは今年、建設産業の人材不足に関する記事を折に触れて掲載しています。いずれも読者の方の反響が大きかったことから、その続編として、8月11日号で特集「求む!担い手」を企画しました。今回は、主に若手技術者・技能者の獲得に向けた取り組みを紹介しています。
冒頭で触れたとおり、土木を学ぶ若者が少なくなっているとしたら、それ以外のところから人を呼び込むしかありません。今回の特集では、そうした「専門外」「未経験」の人を採用し、戦力化しようとしている事例を取材しました。例えば、さいたま市の専門工事会社、深谷組は、「アスリート採用」を実施。体育会系の学生を技能者として数多く採用しています。チームワークや礼節を重んじる点や、練習で鍛えた精神力が、日々の仕事にも役立っているといいます。
一方、兵庫県建設業協会豊岡支部では、会員企業の有志が集まり、建設業の未経験者を養成して戦力化する試みを始めました。失業中または非正規雇用の人を対象に、インターンシップを含む5カ月間の研修を実施しています。地元高校の建設系学科から地元の建設会社に就職する生徒がわずかしかいなかったことが、取り組みを始めるきっかけの一つになったそうです。
人材の確保や定着に向けて取り組もうとしても、特に中小企業では資金的に難しい場合もあるでしょう。そこで、国は支援策を用意しています。記事では、厚生労働省の「地域人づくり事業」など、金銭面での支援を受けられる仕組みについても紹介しています。