2012年度会計検査報告
目次
-
繰り返される基本的なミス
モルタルの吹き付け厚不足に配筋ミス──。会計検査院の2012年度会計検査で並んだのは、やはり“おなじみ”の指摘だ。いずれも原因は、基準書の理解不足や設計時の想定ミスといった基本的なタイプばかり。ミスの撲滅には地道な取り組みしかない。調査官の視点やチェック手法も参考にしたい。
-
コンクリート蓋の重さを忘れて水路が強度不足に
会計検査院は2012年度の決算検査報告で、滋賀県が実施した農業用水路の改修工事を不当と指摘した。設計する際の条件設定などを誤り、構造物が耐力不足になっていた。指摘を受けたのは、同県が農林水産省の補助事業として、10年度に甲賀市で実施した工事。
-
橋脚の巻き立て補強で基礎の耐震性が低下
橋の耐震補強工事の結果、橋脚基礎部の耐震性が損なわれた――。会計検査院が2012年度決算検査報告で、是正改善の処置を求めた事案の一つが、このケースだ。
-
車両の横断を計算に入れず管水路が強度不足に
会計検査院は2012年度の決算検査報告で、山口県が実施した用水路の改修工事を不当事項とした。設計時の現況把握が甘く、完成した管水路の一部が強度不足となっていた。
-
法面植生が“無策”と“放置”で台無しに
法面に保護用の植生を施したが、野生動物の食害を考慮しない設計と完成後の“放置”で台無しに――。会計検査院が2012年度決算検査報告でこう指摘したのは、大分県が実施した法面工事だ。
-
粗雑工事で打ち継ぎ箇所から水漏れ
粗雑工事が見落とされ、整備したばかりの鉄筋コンクリート構造物で打ち継ぎ箇所から漏水――。会計検査院が2012年度決算検査報告で、不当事項として指摘したケースの一つだ。指摘を受けたのは、静岡県が2010年度に国庫補助を受けて河津町で実施した農道整備事業。
-
農家には迷惑だった農道整備
整備した水路兼用農道が周辺田畑の農作業を阻害――。こうした状況から2012年度決算検査報告で不当事項とされたのは、和歌山県が農林水産省経由の国庫補助で実施した事業だ。
-
陸こうの改良工事で生じた凡ミス
陸こうの開閉を電動化する工事で、必要な器具の取り付け位置が不適切――。国土交通省の補助事業として三重県が実施した工事で、会計検査院の2012年度決算検査報告で不当事項として挙がったケースの一つだ。
-
安定計算や設計のミスで落差工の安全度低下
会計検査院は2012年度の決算検査報告で、石川県が整備した河川落差工の設計ミスを指摘した。構造物にかかる地震時の静水圧を過小に算定していたり、設置予定だった遮水工を設計図に記載し忘れて未設置だったりした。
-
基準書の理解不足で樋管を設計ミス
会計検査院の2012年度決算検査報告で、島根県が整備した樋管3基が設計ミスの指摘を受けた。基準書に対する理解不足から、フラップゲート式の樋管に備えるべき「角落し」を、誤って必要なしと判断。角落しのための戸溝を設けない構造で設計・施工していた。
-
配筋設計を誤ってカルバートが強度不足に
不適切な配筋設計により必要な安全性が保たれていない――。会計検査院が2012年度決算検査報告でこう指摘したのは、石川県が整備したボックスカルバート。
-
道路改修ですり付け位置が不適切、路面に高低差
道路の改修工事でオーバーレイ工法を採用したが、設計上、すり付け部が車線の中央付近に設定されていた。その結果、路面に数センチメートルの段差が発生――。会計検査院の2012年度決算検査報告でこう指摘を受けたのは、国土交通省北陸地方整備局新潟国道事務所が発注した「国道113号防災工事」だ。
-
モルタル吹き付け厚さが著しく不足
会計検査院は2012年度の決算検査報告をまとめ、2013年11月上旬、政府に提出した。同報告から土木分野に関する事案を選んで紹介する。第一弾は、沖縄気象台が発注した法面保護工事。