部材区分 | 調査項目 | |
---|---|---|
上部構造 | 主桁 | ひび割れ |
剥離・鉄筋露出 | ||
遊離石灰 | ||
漏水・滞水 | ||
異常振動 | ||
異常たわみ | ||
欠損 | ||
鋼材に沿った異常 | ||
鋼材定着部の異常 | ||
床版 | 剥離・鉄筋露出 | |
遊離石灰 | ||
抜け落ち | ||
鋼板接着部の損傷 | ||
床版ひび割れ | ||
鋼材に沿った異常 | ||
鋼材定着部の異常 | ||
横桁 | ひび割れ | |
剥離・鉄筋露出 | ||
遊離石灰 | ||
漏水・滞水 | ||
欠損 | ||
鋼材に沿った異常 | ||
鋼材定着部の異常 | ||
下部構造 | 躯体 | ひび割れ(PC構造) |
ひび割れ(RC構造) | ||
剥離・鉄筋露出 | ||
遊離石灰 | ||
すり減り・浸食 | ||
漏水・滞水 | ||
欠損 |
定年対象者の再雇用という枠を越えて、シニア技術者の知見を積極的に生かす動きもある。三井住友建設は5年前から、退職したOBによる「橋梁インスペクションエンジニア」制度を導入している。
同社では以前から自社で手掛けた橋梁について、支店工事部や近隣で進行中の工事現場のベテランが、劣化などの状態を確認する取り組みを続けてきた。自主的なパトロールとして、目視のみで可能な範囲を一定の項目に沿って現況を記録。状況次第で、管理者に報告する場合もある。
対象は現在、約4400橋。年間で延べ300~400橋のペースで確認作業を実施しており、複数回の点検を実施した橋もある。結果はデータベース化している。補修などの受注を期待した活動ではなく、同社独自の品質管理策の一種。データの蓄積によって、劣化に関するノウハウの蓄積など、技術力向上につながる点も期待した活動だ。
同社はこの現況確認作業の一部をOBに委託。その知見を活用するとともに、繁忙な支店や現場の負担軽減も狙う。現在5人のOBが活動に携わっている。同社が支給するのは基本的に日当と経費だけで、事実上、ボランティアに近い活動だ。
2006年に60歳で定年退職した桑原晴雄氏もその一人で、08年から参加。現役時代は本社で橋梁の設計や施工、東北支店の技術部門で施工計画立案などを長く手掛けた。
「この約5年間で関東地方を中心に、東北の一部も含めて約350橋を回った。現在67歳だが、“応援団”のつもりであと3年は続けたい」。桑原氏はこう言って笑う。