「ナマの情報が手に入らない」

 傾向として見えてくるポイントの一つは、都市開発や既設インフラの維持管理など、社会のニーズにも目を配りながら、単なる構造物の設計・施工にとどまらない領域に興味の幅が広がっている点。もう一つは、興味の幅が広がる一方で、「見学会で見た土木構造物のスケール感に感動」など、土木本来の魅力にも決して無関心ではないという点だ。

 「もっと実学ベースで学ぶ機会がほしい。例えば現場見学会なども、情報があれば個人でどんどん参加したいが、そうした情報が日頃手に入らない」。そんなもどかしさを訴える学生も複数いた。土木の広報に力を入れてきた業界だが、意外にも彼らにはあまり届いていない。

 留学生の声も興味深い。日本での学生生活を通じて、言葉だけでなく文化や習慣にも精通した彼らが、日本の建設産業で技術者として働くことに強い魅力を感じている。

 こうした学生たちが社会に出て中核をなす未来は、土木技術者の働き方も今以上の変化を遂げているかもしれない。