[全社一斉ノー残業デー]
全社一斉ノー残業デー。昨年から導入し、今年は同業複数社にも声を掛け、この10月に連携して実施する(資料:パシフィックコンサルタンツ)
昨年から導入し、今年は同業複数社にも声を掛け、この10月に連携して実施する(写真:パシフィックコンサルタンツ)

 さらにパシフィックコンサルタンツは、コンサルティングと並行して12年から「全社一斉ノー残業デー」を導入。今年は同業者にも声を掛け、この10月に連携して実施するなど、業界全体への波及効果も期待する。また今年は、特別長期休暇取得者の所属部署に報奨金を出す制度も試行導入した。

 これらの取り組みを経て、同社全体の残業時間は、WLBの取り組み直前に比べて着実に減少してきた(下のグラフ)。「完成高を総労働時間で除した生産性指数も向上してきた」(油谷氏)。

[社員1人当たり残業時間の変化(月別累計)]
社員1人当たり残業時間の変化(月別累計) *2009年10月~10年9月の期間を100とした増減率(資料:パシフィックコンサルタンツ)
*2009年10月~10年9月の期間を100とした増減率(資料:パシフィックコンサルタンツ)

多様化する働き方

 冒頭で登場したオズペックの瀧嶋社長は、「業界全体で働き方の多様化が進んでいる」と話す。

 「転職市場ではシニア層も、資格の有無やプロジェクトの管理経験などに応じて求人側が積極採用する例が今は珍しくない。建設ITや構造物の点検・検査などに特化してアウトソーシング事業を展開する“独立系の働き方”も定着してきた」。

 パシフィックコンサルタンツの取り組みも「より満足度の高い働き方」の模索という点では、多様化の一種。既存の仕事の生産性向上に加えて、“厳しさ”を敬遠しがちな新卒学生など、将来の人材確保も視野に入れた生き残り策でもある。