東日本大震災に伴う原発事故の影響で、復旧・復興が難航している福島県浜通り地方。元建設省河川局長で15年前に退官した尾田栄章氏は、復興サポートのため福島県広野町役場の任期付き職員として現地へ乗り込んだ。

尾田 栄章(おだ・ひであき) 1941年奈良県生まれ。67年に京都大学大学院工学研究科を修了し、建設省に入省。河川局長を務めて98年に退官後、河川環境保全のNPO法人を立ち上げて代表に就任。2013年から福島県広野町職員(写真:日経コンストラクション)
尾田 栄章(おだ・ひであき) 1941年奈良県生まれ。67年に京都大学大学院工学研究科を修了し、建設省に入省。河川局長を務めて98年に退官後、河川環境保全のNPO法人を立ち上げて代表に就任。2013年から福島県広野町職員(写真:日経コンストラクション)

 6月中旬、東京電力広野火力発電所の近隣にある広さ約12万m2の空き地に着くと、ところどころにゴミやがれき、土のう袋の山ができていた。東日本大震災に伴う災害廃棄物と除染で生じた汚染廃棄物の仮置き場として、福島県広野町が設けた場所だ。震災の発生から既に2年数カ月を経た現地。案内してくれたのは、同町の任期付き職員である尾田栄章氏だ。「搬送される廃棄物は、今もまだ増え続けている」と話す。

 尾田氏は、実は旧建設省の上級職OB。河川局長を務めて1998年に退官した後は、NPO法人(特定非営利活動法人)「渋谷川ルネッサンス」の代表に転じ、主に河川と水の問題に取り組んできた。その尾田氏が、今なぜ被災地にいるのか──。

広野町が町有地に設けた災害廃棄物の仮置き場。震災発生から2年以上経過した今も、搬入が続く(写真:日経コンストラクション)
広野町が町有地に設けた災害廃棄物の仮置き場。震災発生から2年以上経過した今も、搬入が続く(写真:日経コンストラクション)