【舗装】高耐久のコンポジット舗装を標準に

 コンクリート舗装は、耐久性が高いというメリットがある半面、走行性や補修のしやすさといった点ではアスファルト舗装に劣る。コンクリートとアスファルト双方の長所を生かしたのがコンポジット舗装だ。これまで、トンネル内の舗装には使われていたが、土工区間でも標準構造として本格採用したのは、新東名が初めてだ。

 アスファルト舗装の上層路盤の部分をコンクリートに変えた構造だ。断面構成は上から、厚さ4cmの表層、遮水性能がある採石マスチックアスファルト混合物(SMA)の中間層、厚さ24cmまたは28cmの連続鉄筋コンクリート(CRC)版、そして最下層がセメント安定処理基盤となっている。

 コンクリート版には横方向の目地がない。発生する横ひび割れは縦方向の鉄筋によって微細なひび割れに分散するので、大きなひび割れが発生するのを防ぐことができる。さらに、鉄筋とコンクリートを構成する骨材同士のかみ合わせによって連続性を保つ仕組みだ。

 大型車両が多い高速道路では、わだち掘れは表層だけでなく深い層にまで達する。コンポジット舗装では、コンクリート版が大型車両の荷重に耐えてわだち掘れを抑え、高い耐久性を発揮する。

 大掛かりな補修の頻度が少なくて済むので、維持管理費を含めたライフサイクルコストの低減につながる。アスファルト舗装に比べて補修による廃材の発生量も減少。また、補修に伴う車線規制で利用者へのサービスレベルが低下するのを避けることにもつながる。

コンポジット舗装の施工状況。アスファルトとコンクリート版を併用することで、走行性を確保すると同時に耐久性を向上させた(写真:中日本高速道路会社)
コンポジット舗装の施工状況。アスファルトとコンクリート版を併用することで、走行性を確保すると同時に耐久性を向上させた(写真:中日本高速道路会社)

(日経コンストラクション2012年4月9日号の記事をもとに構成しました。文中の肩書や年令、データは原則として掲載時のものです)