発注者による積算ミスの発覚が相次いでいます。そして、それが引き金となって、入札の中止や取り消し、会計検査での指摘、さらには建設会社が発注者を訴えるなど、様々なトラブルにも発展しています。

 積算は、予定価格を決めるために発注者が行うものですから、受注者側の人は、「積算ミスをなくすためには発注者自身が気を付ければ済む。我々には関係ない」と感じているかもしれません。実際、入札が“最低制限価格当てゲーム”と化している昨今、自嘲の意を込めて「受注者側には積算能力は必要ない(つまり、積算能力のない会社でも数字さえ当てれば落札できる)」といった意見もよく聞かれました。

 しかし、積算について学ぶことは、実は受注者側にとっても有益なのです。日経コンストラクション7月22日号の特集「積算ミスが無くならない」では、多発する積算ミスの背景を示すとともに、積算ミスを個人で、また組織で防ぐための考え方や方法論を解説しています。加えて、受注者側にとっての積算の重要性について説いています。


日経コンストラクション2013年7月22日号特集「積算ミスが無くならない」から
日経コンストラクション2013年7月22日号特集「積算ミスが無くならない」から

 受注者にとって積算との接点といえば、まずは入札が思い浮かびます。しかし、それだけではありません。特に現場を預かる技術者にとって重要なのは、設計変更の際に積算の知識を活用することだと多くの識者は指摘します。

 現場で条件変更が生じて増額の対象になる場合でも、それが工事内訳書のどの部分に該当するのかを正確に把握していないと、発注者との交渉を有利に進められません。一方、積算基準書をもとに設計変更の根拠を説明できれば、発注者が応じざるを得ないケースは増えるでしょう。

 特集記事では、積算の知識をあまり持ち合わせていない人にも分かりやすいように、積算基準書の読み方から詳しく説明しています。また、日経コンストラクションでは今年の秋に、積算を理解し、積算ミスを防ぐための「参考書」の発行も計画しています。発注者だけでなく、受注者の方にもぜひお読みいただきたいと思います。