建設産業が熱いまなざしを送る東南アジア。日本国内の建設投資の先細りを見据え、多くの企業が進出の意欲を見せています。ただ、マーケットが巨大であるがゆえに韓国勢や中国勢との競争も激しく、海外事業ならではの難しさに直面する機会も多いようです。

 日経コンストラクションでは、そうした東南アジアの建設市場に着目し、昨年11月12日号でベトナムの建設市場をテーマとした特集記事を掲載しました。その第2弾として、2013年4月8日号では「開発大国・インドネシア」と題する特集記事を企画しました。


日経コンストラクション2013年4月8日号特集「開発大国・インドネシア」から
日経コンストラクション2013年4月8日号特集「開発大国・インドネシア」から

 国際協力銀行(JBIC)が日本企業を対象に有望な事業展開先を尋ねたアンケート調査の結果を見ると、インドネシアの順位は2008年度の8位から、10年度は6位、12年度は3位と、人気が急上昇しています。タイやベトナムに比べ、生産年齢人口の比率が高まる「人口ボーナス期」が長く、成長が見込めることが主な要因だと思われます。

 さらに、他のアジア諸国に比べてインフラの整備が遅れており、人口増加や経済発展に全く追い付いていない点も、日本の建設産業が注目している理由と言えるでしょう。インフラ投資は今後、一気に増えると予測されていて、ジャカルタ首都圏では約4兆円に上る壮大な開発プロジェクトが始まりつつあります。

 特集記事では、インドネシアに記者を派遣し、ジャカルタ首都圏での道路や鉄道、港湾などの主要プロジェクトの様子をお伝えしています。日本人技術者の声だけでなく、インドネシア政府のプロジェクト担当者へのインタビューも交えながら、インドネシアが日本の建設産業に対して何を期待するのかについても描きました。

 インドネシアでは、現地の建設会社が力を付け始め、高架道路や港湾など、日本企業に頼らなくても工事を遂行できる工種が増えてきています。一方で、シールドトンネルや地盤改良といった、日本の技術力を生かせる場面も今後は多くなりそうです。インドネシアは親日国家として知られています。現地のニーズにうまく合致する技術力や提案力があれば、4兆円市場に食い込むチャンスは少なからずありそうです。