ドボク塾 考える力養成プロジェクト
目次
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いざ“コテコテ”の3次元へ
第8講義(2)合理化設計 / 講師:大塚 孝義 日本シビックコンサルタント代表
大塚氏の講義第2回は前回に引き続き、3次元で構造物を設計することのメリットについて、シールドトンネルを例に挙げて説明する。海外のシールド設計では主流の3次元化だが、国内ではいまだ抵抗感のある技術者は多い。実はシールドは、本設であるセグメントが施工時に荷重を受けるという他の土木構造物とは違う特徴を持つ…
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過大設計を見過ごすな
第8講義(1)2次元と3次元の違い / 講師:大塚 孝義 日本シビックコンサルタント代表
今回からの講義は、地中構造物を専門とするエンジニア、大塚孝義氏に登場してもらう。トンネルなどの地中構造物では、各種基準に即した汎用ソフトが充実して、若手でも設計業務をこなせるようになってきた。半面、自ら知恵を絞り、工夫を凝らして、工期短縮やコスト削減などに効果的な設計に挑むエンジニアが減っている。設…
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そのさびは“塩”が影響?
第7講義(5)診断実践編「鋼橋の塩害」 / 講師:西川 和廣 土木研究所理事長
橋の「総合診療」実践編の最終回は、西川氏が土木研究所橋梁研究室時代に扱うことの多かった鋼橋について取り上げる。鋼材にとっての大敵は“塩”だ。
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目視点検だけでは防げない
第7講義(4)診断実践編「PC橋の塩害」 / 講師:西川 和廣 土木研究センター理事長
橋の「総合診療」実践編の第2回では、PC橋の「塩害」について取り上げる。実際に損傷した橋の写真を例に挙げて、PC橋の適切な点検・診断の在り方に迫る。定期的に目視点検することが適切に診断するための基本だが、PC橋の場合、それだけでは塩害を見逃してしまい、予防保全をするにしても手遅れになる恐れがある。
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常にWhyとBecause
第7講義(3)橋の診断実践編「RC床版」 / 講師:西川 和廣 土木研究センター理事長
前回までの講義で、点検や診断の違い、維持管理のプロセスについて解説してきた西川和廣・土木研究センター理事長。今回の講義ではいよいよ「総合診療」実践編に移る。全国の道路管理者を悩ませる橋の床版の変状から、劣化や損傷の種類を特定する診断のプロセスを学ぶ。西川氏は「Why」と「Because」の自問自答が…
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「仮説」でなく「現実」を見よ
第7講義(2)設計と維持管理の違い / 講師:西川 和廣 土木研究センター理事長
橋の維持管理では、的確な診断ができる“総合診療医”の育成が必要だと力説する西川氏。具体的な事例を紹介しながら、未熟な診断が再劣化を招いている現状を説明する。的確な診断能力を身に付けるためには、日頃から論理的に考える癖をつけなければならない。これまで多くの技術者が従事していた「設計」の発想から転換する…
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橋の診断は “総合診療”
第7講義(1)正しい維持管理 / 講師:西川 和廣 土木研究センター理事長
全国に70万橋あるとされる道路橋の維持管理が社会問題化している。財源や人材が限られるなか、各方面で取り組みが始まっているが、本質を踏み外した維持管理も散見される。今号からは、国土交通省時代に土木研究所で長年、橋梁研究室長を務めるなど、維持管理の様々な課題に取り組んできた土木研究センター理事長の西川和…
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精神論で「考えろ」は限界
第6講義(4)コンサルティングの将来 / 講師:太田 英将 太田ジオリサーチ代表
太田氏の最終講義では、起業後の経験を振り返りつつ、仕事を生み出す視点について語ってもらった。既存のマニュアルなどでは理屈が付かない現象に対して、これまで多くの解決策を提示し、ビジネスにつなげてきた。背景には、日ごろから問題意識を持って仕事に臨む姿勢があった。
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二次元解析の罠
第6講義(3)谷埋め盛り土の安定計算 / 講師:太田 英将 太田ジオリサーチ代表
土木の世界では、簡易な二次元断面法による安定計算式で構造物や地盤を評価することが多い。しかし、二次元断面に簡略化できるのは、現象を正確に解析できるという前提条件があって成り立つものだと太田氏は指摘する。問題の本質を見極めて仕事に臨まなければ気付けない。
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安全率1.2でも崩れる?
第6講義(2)斜面崩壊の予防 / 講師:太田 英将 太田ジオリサーチ代表
太田氏の2講義目は、前回に続き、斜面崩壊をテーマに進める。崩落の要因の一つである過剰間隙水圧の発生をどう防ぐべきか?
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崩壊に偶然はない
第6講義(1)道路法面の点検 / 講師:太田 英将 太田ジオリサーチ代表
今回から始まる第6講義では、地盤の災害調査や予防対策のスペシャリストである太田英将氏を講師に迎える。
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アイデアに終わりはない
第5講義(4)新構造の追求 / 講師:春日 昭夫 三井住友建設技術本部長
最終回を迎える春日氏の講義。今回は、様々な構造形式の橋を世に送り出してきた春日氏の最新の提案などを題材に、そうしたアイデアが生まれた背景を追う。これまでエクストラドーズド橋では困難とされてきた長支間を、最新の構造と組み合わせることで、実現への道を開いた。ダイナミックな提案で、もう一度、土木に夢を与え…
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常に「もっと良くできる」
第5講義(3)開花する技術 / 講師:春日 昭夫 三井住友建設技術本部長
どんな構造物にも固有の条件があり、設計や施工の工夫が求められる。春日氏は、プロジェクトに応じたアイデアを持ち込み、施工の省力化やコストダウンにつながる合理的な設計を追求してきた。一つのアイデアを、その後のプロジェクトで磨き続けるうちに、いくつもの新技術が開花した。アイデアを磨く力は、「もっと良くでき…
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施工しやすい断面とは?
第5講義(2)前例なき設計への挑戦 / 講師:春日 昭夫 三井住友建設技術本部長
春日昭夫氏がテーマとしてきた「設計の合理化」と「施工の省力化」の模索は、30代半ばから立て続けに設計や施工に携わった三つのエクストラドーズド橋から本格的に始まる。基準どおりには造れない設計に挑み、その現場にも立ち会うことで、造りやすく、そしてコスト削減にもつながる合理的な設計の技術が磨かれていった。
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施工性とコストの最適化
第5講義(1)設計の心構え / 講師:春日 昭夫 三井住友建設土木本部副本部長
ドボク塾の5人目の講師は、三井住友建設の春日昭夫氏。プレストレスト・コンクリート(PC)構造を軸に、橋梁の分野で新しい構造形式を次々と提案し、前例のない橋の実現に挑んできた。湧き続けるアイデアの源泉と、それを実現させてきた秘訣はどこにあるのか。設計の基本姿勢とともに、具体例を交えながら講義してもらう…
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重要になる「現場を読む」力
第4講義(4)技術者の姿勢 / 講師:島谷 幸宏 九州大学大学院教授
島谷氏の最終講義は、これからの土木技術者に求められる基本姿勢を説く。甚大な被害をもたらす想定外の自然災害が相次ぐなか、従来のマニュアル的な設計の限界が露呈している。想定外の自然災害に対しても安全性を高め、万が一の被害も最小限に抑えるためには何が求められるのか。答えは、一人ひとりの土木技術者が、「現場…
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座席の配置が成否を分かつ
第4講義(3) 場づくりの重要性 / 講師:島谷 幸宏 九州大学大学院教授
住民など様々な関係者が参集する合意形成の場を、円滑にまとめるには様々なノウハウが求められる。意外に大切なことの一つが、座席の配置だ。着席の仕方次第で、互いが融和することもあれば、対立を深めてしまうこともある。今回は、座席の配置を中心に、合意形成に向けた基本的な考え方を説いてもらう。
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反対意見を排除しない
第4講義(2)合意形成の勘所 / 講師:島谷 幸宏 九州大学大学院教授
各地の河川改修事業などで、住民の合意形成に向けた委員会のファシリテーターとして、島谷氏は豊富な経験を持つ。これまでにたびたび遭遇したのが、住民間の意見の対立と、その板挟みで悩む行政の姿だ。そのなかで、島谷氏はどこでも通用する合意形成の勘所をつかんだ。一方、典型的な失敗例も挙げる。
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標準断面の呪縛を解く
第4講義(1)発想の転換 / 講師:島谷 幸宏 九州大学大学院教授
今回からの講師は、各地で多自然川づくりに取り組む九州大学大学院教授の島谷幸宏氏。中小河川の整備は、かつての画一的な構造物から、地域性を生かした自然豊かな川づくりへと転換し始めているが、対応できていない技術者が目立つ。最大の壁は、長く慣れ親しんできた標準的な設計による「思考停止」だという。
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責任が技術力を高める
第3講義(5)技術者の本質 / 講師:石橋 忠良 ジェイアール東日本コンサルタンツ取締役会長
最終回となる石橋忠良氏の講義は、「今の技術者に対する危機感」の話題から始まる。研究開発やマネジメントが重視される一方で、実務にたけた技術者が育っていないと指摘する石橋氏は、JR東日本に「構造技術センター」を立ち上げ、技術者が育つ環境づくりに努めた。目指したのは権限と責任を持った技術者集団の育成だった…