この1月、2012年度の補正予算案と13年度の当初予算案が相次いで閣議決定されました。公共事業による景気対策を推し進める安倍内閣は、合わせて7.7兆円の公共事業関係費を計上。自民党が野党時代から提唱してきた「国土強靱化」が、姿を現し始めました。

 日経コンストラクション2月25日号ではこのタイミングを捉え、「国土強靱化の正体」と題する特集を企画しました。


日経コンストラクション2013年2月25日号特集「国土強靱化の正体」から
日経コンストラクション2013年2月25日号特集「国土強靱化の正体」から

 国土強靱化でどんな分野にどのぐらいの金額が投じられるのかを整理し、なかでも目玉となるインフラの老朽化対策についてページを割いて解説しました。新設された「防災・安全交付金」の仕組みのほか、愛知県の有料道路で検討されているコンセッション(国や自治体などが公共施設の所有権を保有したまま運営権を民間事業者に譲渡する方式)や、東海道新幹線で間もなく始まる大規模改修などを例に、財源の在り方についても考察しています。

 そして、この特集のもう一つのテーマが、サブタイトルである「大型補正で問われる『公共事業復権』の是非」です。

 公共事業が大幅増に転じることに対して、「必要な事業に絞って積み上げた結果だ」、「従来の“バラマキ”と何も変わっていない」と、見方は二分されています。記事でも、こうした「推進派」「懐疑派」それぞれの識者へのインタビューを交えながら、国土強靱化への論点を整理しています。

 東日本大震災による被害を目の当たりにし、インフラの老朽化が社会問題になっている昨今、公共事業に対する国民の関心は高まっていると思われます。しかし、ここで一歩間違えば、世間からの批判はこれまで以上に高まることになるでしょう。事業の必要性や実効性、進め方は妥当なのか、今後も注目していきたいと思います。